大学生になって、遠距離恋愛というのになった。
同じ道内だから凄い遠距離っていうわけじゃないけど
頻繁に会える距離でもない。
お互いバイトを始めたりして、タイミングが合いにくいので電話もしにくいし、
電話代もバカにならないので電話は一日一回だけと決めた。
寝る前に「おやすみ」の電話をと決めた。(私が勝手に)
でも風早君のバイトは深夜のものもあって、それすら繋がらないこともしばしば。
電話を一日一回と決めたら、自然にメールが頻繁になった。
常にタイミングは合わないものだと思えば、返信が遅くても気にならないから
近頃のメールは双方が一方的に時間が開いた時に送りつけて、
たまに返事も混じってるというやりとりになっている。
そんな近頃だから、尚更風早君の誕生日だけは一目でも会いに行きたいと思った。
当日払いの家庭教師のバイトのお陰で北幌への電車代と
それなりのプレゼント代も捻出できた。
その日は平日だったけど、ちょうど講義は午前中だけで、
急げば一目逢ってプレゼント渡してとんぼ返りできそう!
『もうすぐ誕生日だね。なにか欲しいものはありますか?』ってメールしてみた。
だいたいいつも直ぐに返信なんてこないのだけど、
その時に限ってあまりに直ぐに着メロが鳴ってちょっとびっくりしながらメールを開く。
『くろぬま』
ええっ?!それだけ?わ、わたし?な、なんでひらがな?こ、これってどういう・・・意味?
ま、まさか・・・すごく大人な意味?!
いやいや、か、風早君がメールでそんなこと送ってくるわけないよ!
なんかの間違いだよ・・・あ、途中で送っちゃったとかきっとそんな感じだよね!
一人で赤くなってオタオタしてたら、もう一度着メロが鳴った。
『ごめん!うっかり途中で送っちゃった。変なメール送ってごめん。深い意味は全然ないから。
黒沼の顔が見たいって打とうとして・・・あ、欲しいものじゃないか・・・もう、いろいろごめん!』
なんか風早君もオタオタしててなぜだか嬉しくなっちゃった。
なんだか思った通りでちょっと笑えちゃうな。
風早君だから、深い意味が全然ないのもわかってるよ。
うん、ちょっとくらいは有ってもいいかななんて思っちゃうのもほんとだけど・・・