4 座敷童子は普通の人みたいに暮らしていたいらしい。
これは予想外だった。
ちょっとくらい怖いのはなんとか我慢して慣れてくれば平気かなと思ってたんだけど、
こんなに一緒にいてドキドキするのは困るな・・・
でも、今までこの部屋に住んだ人たちが怖がって
黒沼のことちゃんと見てなくてよかったよ。
ちゃんと見てたら絶対誰が見たって黒沼は綺麗で可愛いし!
あ、『育ってしまって』って言ってたから、もっと子供っぽかったのかも・・・
いや、子供っぽい黒沼も、それはそれで可愛い気がするな・・・
よく今まで無事に来れたものだ・・・
・・・無事だったのかな、危ない目に会ったことなんか無かったんだろうか?
俺みたいなのは初めてって言ってたから、大丈夫だったんだよな?
だいたいなんで「男子大学生」なんだ?
女の子なら、女の子同士なら何の問題もないんじゃないのか?
そう思って黒沼に聞いてみたら・・・
「それは・・・やっぱり女の子のほうがこういう存在を怖いと思うからじゃないかな?」
なるほどそうかもしれないな・・・
そもそも俺なんて幽霊とかそういうもの(この場合ちょっと違うけど)を
今まで見たこともなかったから、見える人か、見えない人かというと
見えない人の部類だから、居ると言われてる座敷童子も
見えないし、感じないかもしれないと思っていたんだ。
全然怖くないって言うと、恥ずかしいけど嘘になるかな。
でも、これは強がりとかでは全くなくて、黒沼のことは少しも怖いなんて思わない。
黒沼のほうが怖がられないのに慣れてないみたいだから、
うっかり馴れ馴れしくしすぎないように気をつけないとと思うくらいで。
「えーと・・・一緒に住む・・・っていうのも変かもしれないけど、
・・・一緒に住むんだから、俺のすることで黒沼が嫌だと思うこととか
あったら遠慮無く言ってね。
その・・・嫌な思いして黒沼が居づらくなったりしたら、
俺家主さんに怒られちゃうし・・・」
「大丈夫ですよ・・・。
だって私にとって、必要以上に怖がられることより辛いことなんて多分無いから。
それに、この部屋は特別だから。
やっぱりそこにあるものに触れないのは悲しいの。
この部屋の中のものには触れるからだからここが好きなの。
私の居場所だなって思えるの。
この部屋では普通の人みたいに過ごせるの。」
「そっか・・・黒沼は普通の人みたいに暮らしていたいんだね。」
「うん!今一番楽しいのはね、この部屋をお掃除することなんだよ!
あ・・・でも、風早君の荷物が入ったらちゃんと触らないようにするから!」
「それでかー。空き部屋なのに綺麗だと思ってたんだよ。
掃除してくれたら助かるな~。」
「いいの?風早君が住むようになっても私がお掃除しても・・・」
「俺一人暮らし初めてだしさ、掃除ってあんまり得意じゃないしやってくれたら助かるよ。
それに、俺多分学校とバイトで結構忙しくなると思うからさ。
なんか俺、黒沼のお陰で得してばっかで悪いみたいだな・・・
黒沼の特別な居場所に俺なんかが転がり込んじゃってごめんな。」
「え?ちがうの!いいの!
ここは特別な場所だけど、人が居ないここは寂しいから・・・
私を怖がって目を合わせてくれない人でも、人が住んでるこの部屋が好きなの。
だから、私を怖がらずにお話してくれる風早君に住んでもらえるなら、
私はとっても嬉しいから、だから私も凄く得してるんだよ!!」
俺達はどちらからともなく目線を合わせて微笑みあった。
俺、黒沼とならいい感じでやっていけそうな気がする。
黒沼もそう思ってくれてたらいいなって、そう思う。
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