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  二次創作の文を置いてます。 駄文ばかりに付き読後の苦情はご勘弁を。 コメントのパスワードは「君に届け」です。
                       
   
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なんとなく「こいうた」ってタイトルにしたけど
「うた」全然出てこない。
「うたひめ」となんか字面似てるかなって決めたから・・・



拍手[10回]

   

   


4 黒沼爽子は同行する。


『黒沼さん! あんなところであんな時間に待ってるなんてやめてよ! 』
って風早くんに言われて、やっぱり私なんかが追いかけ回してるのが
迷惑なんだって思って、もう消えてなくなっちゃいたいって思った。

思ったんだけど・・・風早くんは私のストーカー行為に怒ったんじゃなくて
むしろ嬉しいとか言ってもらって・・・
その上私のことを『魅力的な女の子』だなんて、一体何のご褒美!?

えっとつまり、問題点は待っていることではなくて場所とその状況
ということのようなんだけど・・・
そういえばこの風早さんに追いつかれてしまった公園なんだけど
いつもは近道として脇目もふらずに通り抜けていたから
気づかなかったんだけど、こんな遅い時間に意外にも
結構な人たちがいらっしゃるご様子で・・・
しかもなんだかカップルさんが甘い雰囲気出しておられるのに
いきなり走りこんできて言い争いのようなことを始めた私達は
多分きっとまず間違いなく凄くおじゃま・・・ですよね・・・

ふと風早くんの方を見れば、風早くんも周りの様子に気づいたようで
なんだかバツの悪い表情で視線が泳がせている。

この場を離れなくてはと思い、
「私の部屋がもうすぐそこなので来てください。」と言おうとしたら、
風早くんがいきなり私の手を取って歩き出した。

公園を抜けると私の部屋と反対方向へ歩いて行く。
・・・そうだ、こっちは風早くんのお家の方だ。

「えっと・・・知ってるんだっけ、ここ俺んちなんだけど・・・
 もう少し話ししたくて・・・あっ、ごめん!勝手に連れて来ちゃって・・・
 その、もし、嫌じゃなければ・・・話しできるかな・・・」

「わ、私なんかを風早くんのお部屋に上げていただけるの?! 」

「はあ・・・もう・・・」と言いながら鍵を開けて「どうぞ。」と言ってくれる。

「この部屋に女の子が来るの、黒沼さんが初めてだから。」

「えっ?! 風早くんあんなにモテモテなのに!? 」

「なに? 俺が女の子とっかえひっかえ
 部屋に連れ込んでるとでも思ってんの? 」

「い、いやいや、そんなっ!
 風早くんは誠実で爽やかな人ですからっ! 」

「そんないいもんでもないけどね。
 今のところそんな邪な気持ちはないから安心して入ってよ。」


ドキドキしながら風早君のお部屋におじゃまする。
部屋の真ん中に置かれた
冬場はこたつになると思われる机の前に座らせて頂いていると、
風早くんがグラスにお茶を入れて持って来てくれた。

か、風早くんのおうちの風早くんが私のためにいれてくれたお茶・・・
とか感激していたら、風早くんの手元には大きめのマグカップに
入ったお茶が置かれていて、きっといつもお茶でもコーヒーでも牛乳でもあのマグカップで飲んじゃってるのかななんて、他では見れない
風早くんを見れたような気がしてニマニマしてしまった。

「なんか嬉しそうだね。」って風早くんが言うから、
「・・・うん・・・ここでしか見れない風早くんが
 見れて嬉しいなって・・・。」と答えれば、
「そんなの黒沼さんが見たいって言えばいくらだって見せてあげるし、
 知りたいって言ってくれたらなんだって教えてあげるのに。
 ・・・そういえばさ、まだ俺のこと追っかけてくれてるんだったら
 学校でも俺のこと見てたんでしょ?
 声かけてって言ったのに何で声かけてくれなかったの?」
って訊かれて・・・

「風早くんはいつも何人ものお友達と一緒で楽しそうだから
 私はそんな風早くんを見てるのが好きだったから・・・
 声をかけて邪魔したくなかったし、そんな勇気もなくて・・・」

「・・・そっか・・・そうだよな・・・男ばっかのグループに声かけに来るなんて
 そりゃハードル高かったよな。気づかなくてゴメン・・・
 俺さ、追っかけてくれてるって聞いたけどチラッとも姿見かけないから
 俺が黒沼さんのこといろいろ知ってたことが気持ち悪くて
 もう俺のこと追っかけるの止めちゃったのかもって思ってさ・・・。」

「えっ?! まさか!! 風早くん、私が追っかけてること
 もう知ってるから、見つからないように今まで以上に
 気をつけて隠れながら見てたの。
 ファミレスの裏口も気をつけてたんだけど、
 何度か他の人に気づかれてしまって・・・」

「そういえばファミレスにも来てくれなくなっちゃったし・・・
 なおさら、俺、黒沼さんに嫌われちゃったかもと思ってさ・・・」

「あ、ご、ごめんね。結果的に嘘ついたことになっちゃったよね。
 また行くって言ったのに・・・でも、やっぱり恥かしくていけなくて・・・
 私が風早君の事好きだってわかってるのに行くなんて・・・」

「え・・・」

「え? 」

「もう一回言ってもらえる?俺のこと・・・」

「あ、ああああ・・・いや、今のは、えっと、言葉の綾といいますか・・・・」

「・・・それはホントはそうじゃないってこと?」

「えっと・・・いえ、その・・・そうじゃなくないんですけども・・・」

「うん! 俺もさ、黒沼さんのこといろいろ知ってるよとか言っちゃったから
 俺の気持ちバレバレだよなって、分かってるに決まってるって
 思ってたんだけどさ・・・意外にそうじゃなかったみたいだからさ・・・」

「え? 」

「あ! その前に1つ確認! 俺とお父さん以外の男が訪ねてきたり
 部屋に上げたり、してないよね!! 」

「え? それって、訪ねて来られてもダメだったの?! 」

「え? なに、誰か訪ねてきたの? 」

「う、うん・・・城ノ内くんが・・・」

「な、なんでジョー?! 」

「ゼミの班が一緒で、何かわからないことがあって、電話やメールじゃ
 まどろっこしいから近いし来ちゃったって・・・」

「ジョーは黒沼さんの電話もメールも家さえも知ってんの? 」

あ、あれ?風早くんなんか凄くご機嫌斜め・・・
そんなにいけないことしちゃったのかな!

「メアドとかは班の人全員で交換したんだよ。
 家は・・・城ノ内くんも一人暮らしだって聞いて、
 じゃあ、学校の近くならもしかしたらご近所さんかな~とかって・・・
 城ノ内くんって、凄く話しやすい人だよね~。」

そう言ってヘラって笑ったら、風早くんの手が伸びてきて
両手のひらで私の両頬をそっと覆った。

な、なにかな、この状況?・・・・
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