「え?プレゼントは手料理を晩御飯に振る舞ってくれるんじゃなかったの?
俺、そのつもりでこの部屋来ちゃったんだけど・・・」
「あ、もちろん晩御飯はもう準備出来てるよ!
温めるだけでいつでも食べれます!!
あ、もう食べる?用意しようか?」
「え、いやいや、黒沼落ち着いて!
さっき学食で食べたばっかでしょ!
さすがにまだ晩御飯には早いと思うんだけど。」
「あ・・・ああ、うん、そうだよね・・・私ったら・・・」
「で、それとは別にプレゼントを用意してくれたの?
黒沼が俺のために用意してくれたものを
俺が迷惑だなんて思うわけ無いじゃん。」
「ちょっと普通じゃないプレゼントなので・・・」
「どういうふうに?」
「えっと・・・ちなみに、これなのですが・・・」
机の引き出しからリボンのかかった箱をとりだして
俺のために入れてくれたコーヒーの横においた。
その箱は20cm四方の正方形で高さは3cmくらい。
淡いピンクの包装紙に赤くて金色の縁取りのリボンがかかってる。
とても男の俺がもらうものには見えない。
「これ・・・俺に?」
「う・・・うん!風早君に!
もしよかったら、これを風早君の好きな女の子につけてあげてください。
い、今でなくても全然構いません!
要らなければ、捨ててください。それでも全然構いません!」
「うん、よく分かんないけど、じゃあ、開けさせてもらうね。」
さっぱり意味がわからない。
でも、包みを開ける俺の前で、
黒沼が真っ赤になって凄く緊張してるのは分かる。
俺が好きな女の子って、そんなの黒沼に決まってるんだけど、
つけてあげるって、アクセサリーか何か?
箱の中から出てきたのは、カチューシャとか言ったっけ・・・
頭につけるアクセサリーで、金色の金属のU字型の頭にはめる部分があって、
その中央に少しくすんだ赤色の網状のものでリボンが形作られてる。
「こ、これを俺の好きな女の子に?」
「う、うん・・・でもね、今でなくても、風早君の気持ちが整った時で構わないので・・・
二十歳になった風早君に・・・私の気持ち・・・なので!」
「え・・・気持ち・・・黒沼は、整ってるの?
俺の勘違いじゃなければ、そういうこと、ホントに?」
「わ・・・私にリボン、つけてくれますか?」
「これを俺が要らないから捨てるなんてこと、あると思ってんの?
今日、俺の誕生日だからくれたんだから、今つけていいんだよね?」
「え?今?ホントにたった今?気持ちは大丈夫なの?」
「大丈夫も何も・・・俺はずっと我慢してるんだよ、知らなかったでしょ、黒沼・・・」
「え?我慢してたの?どうして教えてくれなかったの?」
「それ教えたら、我慢してることになんないじゃん。
黒沼の気持ちが整ってからでいいって、それまでは我慢しようって思ってた。」
「す、凄く勇気が要ったよ、これ渡すの・・・」
「うん、ありがとう、勇気出してくれて。
じゃあ、プレゼントさんにリボン付けさせてもらうね・・・」
「不束者ですがよろしくお願いします・・・」
「あ、いえ、こちらこそ・・・大好きだよ、黒沼。」
そっと抱きしめたら黒沼もおずおずと俺の背中に手を回して
俺に抱きついてくれる。
俺ばっかり欲しがってるって思ってたから、
同じ気持ちでいてくれたことが素直に嬉しい。
晩御飯を食べたのはもうずいぶん遅い時間になってからで、
うっかり終電を逃した俺は、泊めてもらうことになった。
っていうよりも、とても黒沼を手放せなかった・・・
うん、そういうこと・・・
END
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