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二次創作の文を置いてます。 大したこと無いモノしかありません。 読後の苦情はご勘弁を。
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珍しく一気に投稿です。5話で完結です。
二人共同じ大学に通う大学生で
爽子ちゃんがシンガーソングライターと言う謎設定です。
1 黒沼爽子は憧憬する。
2 風早翔太は失言する。
3 風早翔太は特攻する。
4 黒沼爽子は白状する。
5 風早翔太は脱力する。





3 風早翔太は特攻する。


彼女が帰ってしまって少し寂しく感じながら、彼女の席を片付けに行ったら、
椅子の上に置き去りにされた赤い財布を見つけた。
彼女のものに違いないと思って、すぐに追いかけたが
もう彼女の姿は見当たらなかった。

「お会計ですか?」って聞いて、他の人が入る前にキャッシャーに入ろうと
すぐに俺が向かったもんだから彼女をさらに焦らせてしまったのかもしれない。
その挙句に財布なんて大事なものを忘れ物させてしまうなんて、もう、俺って・・・

気がついて彼女が戻ってきたら
俺が返してあげたいと思ってポケットに入れた。
俺のバイトが終わるまでに彼女が来なければ
連絡先が分かるものがなにか入っていれば俺が届けてもいいなと思う。
さっき少し話したから俺のこと少しくらい覚えてくれてるだろうって思うし。
ホントは店に預けておいたほうが良いんだろうけど
こんな彼女のことなんか分かるかもしれない機会を逃す手はないって思ってしまう。
それに少しでも早く彼女に届けたほうが彼女のためだよな、うん。


結局、俺のバイトが終わっても彼女は現れなくて、
更衣室に一人なのをいいことに彼女の財布の中身を確認した。
お金の他に学生証が入っていた。

学生証を見て初めて彼女が同じ大学の学生で同じ学年だと知った。
名前は黒沼爽子・・・爽子・・・?
俺が好きなアーティストの「爽子」と同じ名前・・・
そんなにある名前じゃないよな、爽子って。

偶然?・・・・
「爽子」は確かこの辺りの地方ラジオ局から人気の出たアーティストだ。
つまり、彼女がこの地方の人だという確率は高い。
そう言えば少し前まで黒沼さんが続けて頼んでたメニューが
「爽子」の二曲目のタイトルだった。
そんな偶然あるだろうか・・・

俺の中で黒沼さんがアーティストの「爽子」なんじゃないかという疑念が膨らんでいく。
「アイスクリームパンケーキ」の前には何度か「ミルクティー」だって頼んでたよな・・・
話した声も「爽子」の歌声に似てる気もする。
歌ったら「爽子」の感じなんじゃないかな・・・

それほど気にしていなかった「爽子」の人物像が物凄く気になりだした。
あのラジオ局のサイトに行ったら何か「爽子」情報がないだろうかと
スマホでアクセスしてみたら・・・

「アイスクリームパンケーキ」に続く三枚目のシングル・・・
――――「チョコレートパフェ」

そう書いてあった。・・・これって・・・・


でも、まず、とりあえずはこの財布を返さないとなあと思う。
連絡を取ろうにも財布で電話番号とか分からないよなあ。
そんなこと思いながら何の気なしに学生証を裏返してみたら、
――現住所が書かれていた。
俺、こんな所に住所書いてないなあ。
学割で定期買うとかじゃなければ書く必要ないし。
黒沼さんも大学の近くに部屋を借りてるみたいだ。
俺の住んでるところからも結構近い。
つまり、俺も黒沼さんも電車もバスも通学に使う必要がないから定期券も買わない。
なのに住所を書いてる黒沼さんはきっと几帳面なんだな。
おかげで何とか返しに行けそうだ。


もうあまり早い時間じゃないけど、インターホン越しでもいいから話をして、
財布はポストに入れて渡すとかすればいいだろう。
とにかく財布は早く返した方がいいよな、うん。

ファミレスから10分位歩いた所に黒沼さんの部屋はあった。

部屋のドアの上に几帳面なきれいな文字で『黒沼』と書かれてる。
この部屋で間違いない事を確認する。
さすがに今日初めて話しらしい話しをした男が
いきなり部屋に訪ねてきたりしたら警戒するだろうなと、
そういう反応をされることを覚悟してインターホンを押す。

「はい。」と、小さな声で返事があった・・・黒沼さんの声だ。
「夜分遅くに失礼します。
 今日来ていただいたファミレスのアルバイトのものですが・・・」
と言った次の瞬間、入口のドアがバッと開いて、黒沼さんが顔を出した。
「か、か、か、か・・・・風早くん!ど、ど、ど、ど、どうしてここに!?」と、
上気した顔で、大きく見開いた瞳で俺を見つめて問いかける。

「えっと・・・今日はご来店いただきありがとうございます。
 ・・・その折にお客様がこちらの財布をお忘れになったようで、
 失礼ながら中を確認させていただきまして、
 住所が書かれた学生証が入っていたのでお届けに上がった次第です。」と
思いつく限りの丁寧な言葉を選んで俺が来た理由を説明する。
実のところ、黒沼さんがこんなに簡単に出て来てくれるなんて思わなかったんで、
かなり面食らっていたんだけど・・・正直なところ凄く嬉しい。

「えっ!ええっ!?さ、財布を忘れて!?
 それをわざわざ届けに来てくださったんですか!?
 すいません、すいません!ほんとに、もう、ご迷惑をお掛けして・・・」と、
物凄く恐縮されてしまったから、「いやそんな・・・じゃあ、これ。」と
財布を渡して帰ろうとしたら、黒沼さんが慌てて、
「あ、あの、その、今日嬉しくって、あの後、クッキー焼いちゃったんですけど、
 お礼と言ってはなんですが、もしご迷惑でなければ、凄く沢山焼いてしまったので
 是非召し上がって行ってくださいませんか?」って言いながら、どうぞどうぞと
招き入れてくれるもんだから、思わず黒沼さんの部屋に上がり込んでしまった。

気がついたら確かに一人で食べるには多すぎるクッキーとコーヒーを前に
黒沼さんの部屋の中で座っていた。
「よろしかったらどうぞ。
 私が焼いたのでそんなに美味しくないかもしれないんだけど・・・」って勧められて、
「ありがとう。いただきます。」って一つ食べたらやたらとおいしくって、
「うわっ!すっげーうまい!」って言ったら、
「本当に?よかったー!どんどん食べてね!」って黒沼さんがまた可愛く笑った。
いきなり俺の心臓がバクバクいいだして、どーしようかと思いながら
黒沼さんの笑顔から目をそらしながら、
「う、うん。ありがとう。」って言ってさらにクッキーを食べる。
ふと俺の左横にシングルベッドがあるのが目に入った。
その上に無造作に電源が入ったままの
電子ピアノっていうのかキーボードっていうのか、が、
ヘッドホンのジャックをさしたまま置かれている。
書きかけの五線譜まであって、なんか作曲中?・・・みたいな・・・

いやいやそんなことよりも

冷静になってみたら、これはまずいんじゃないだろうか・・・
一人暮らしの女の子の部屋に男の俺が夜にやってきて上がり込んじゃったりして・・・
いくら黒沼さんが招き入れてくれたといっても、やっぱまずいよな・・・
クッキー食べてる場合じゃない・・・

「あ、あの、黒沼さん・・・」と、俺が話しかければ
「はい。」とにっこり可愛く返事をする。
「今までもこんなことあったのかな?」と言えば不思議そうに、
「こんなことって?」と、問い返された。
「――夜に訪ねてきた男を一人の部屋に招き入れたりしたことあるの?」と訊けば、
「え?!まさか!!男の人が訪ねてきたのなんて風早くんが初めてなので。」って、
ちょっと待て、聞き捨てならないよそれは。

「男が訪ねてくるのが今回が初めてだから今まで無かったってこと?」

「え?違うよ!よく知りもしない人を部屋に入れたりしないよ!」

「でも、俺、黒沼さんのよく知ってる人じゃないと思うんだけど・・・
 それと、俺、多分黒沼さんに名乗ってないと思うんだけど・・・
 なんで俺の名前知ってるの?」

思わず問い詰める口調になってしまった俺に、黒沼さんは身体を固くして
心なしか青ざめた顔をして謝りだした。


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