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  二次創作の文を置いてます。 駄文ばかりに付き読後の苦情はご勘弁を。 コメントのパスワードは「君に届け」です。
                       
   
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ちょっと前回から時間がかかってしまいました。
覚えてくださってますでしょうか、座敷童子ですー。

Pixivの表紙用イラスト、ここにでも置いとこうかな。





拍手[7回]

   

   


9 一緒に買い物に行こう!


無事にスーツを着て入学式を済ませることが出来た。
ホントにもう何をするにも黒沼のおかげだ。

スーツで決めていったからって、モテるなんてことはなかった。
別にそんなこと期待して行ったわけじゃないけど。
仮に、黒沼より可愛い子が居て、
その娘が俺を好きなるなんて事があったとしても、
きっと俺は黒沼より他の娘を好きになることはないって思う。

うん、まあ、解ってるんだ。
黒沼は座敷童子で、見える人にしか見えず、
触れられる人にしか触れられない
人ならざるものなんだってことは・・・
好きになってもしかたがないんだろう。
理屈は解ってる。
でも、解ってたってどうにもならないこともあるものなんだな・・・
そりゃあ、黒沼が普通の人間の女の子だったらと思わなくはない。
でも、黒沼が座敷童子だからこそ、今ずっと一緒に居られるんだ。
今の俺はとりあえずそれが幸せだなって思ってる。

あれから黒沼は朝食と夕食を一緒に摂ってくれるようになった。
二人で食べたらなおさら黒沼の作ってくれた食事は美味い。
どんどん料理に凝りだす黒沼が、買ってきて欲しいという物が
だんだん俺では分かりづらくなってきた。
一度黒沼を連れて買い物に行って選んで貰う必要がありそうだ。

「風早くんと一緒に買い物に行くの、凄く楽しそうなんだけど・・・
 人混みに行くと人が私を通り抜けることがあって・・・」

「ああ、ドアの時みたいになるんだ・・・」

「前に好奇心から街にでてみたら、立て続けに3人位に通り抜けられて、
 急いでここに戻って来たけど2、3日気分が悪かったの。」

「そっかー・・・でも、今度は俺がいるんだから俺の後ろにくっついてれば
 いきなり人にすり抜けられたりしなくてすむと思うよ。」

「あ、そうか!そうだね!!風早くんの後ろにぴったりくっついていけば
 少なくとも前からくる人にすり抜けられなくてすむね!
 わ~、お買い物に行けるんだ~。嬉しいなあ~。」

「うん!黒沼のことは俺が守るから!!」

言ってしまってから、なんか物凄く定型文のようなこっ恥ずかしい台詞を
言ってしまったと、こりゃあ赤面モノだと思いながら、文字通り赤面する。
でも、黒沼はそんな陳腐な言葉に感動すらしてくれているようで
黒沼が喜んでくれてるなら何でもいいやって思ってしまう。

「じゃあ、今から行く?」と訊いたら、嬉しそうにコクコクと頷く。

二人で部屋を出て戸締まりをしてたら、隣の4号室のドアが開いた。
隣には同じ大学で結構同じ講義をとってる城ノ内宗一と言う男が住んでいる。
大学の講義が始まって早ひと月位経って、結構友だちもできた。
城之内は調子のいい面白いやつで直ぐに友だちになった。
仲間内ではジョーと呼ばれてる。
中から出て来たジョーがドアノブを掴んで部屋から一歩踏み出した姿勢で
こっちを見てなぜだか固まっている。

「ジョーも出かけるのか?」と声をかけたら、怪訝な表情のジョーが
「か、風早・・・その和服美人はもしかして・・・彼女?」と言う。
「え?」・・・『見えるの?』と言う言葉を飲み込む。
黒沼は5号室を出たら信じてる人と見える性質の人にしか
見えないんじゃなかったっけ。
ジョーって見える人だったのか?
和服美人って絶対黒沼のことだよな?

「なんだよ~、お部屋デートかよ、やっぱモテる奴は違うね!!」
なんてお気楽にからかうジョーは和服ということ以外には
黒沼に対して特に違和感は感じてないようだ。

やっぱり見えてるみたいだし、見えてる奴に黒沼が普通は見えない存在なのだと
言わないほうがいいんじゃないかとか、急いでその場でグルグル考えて、
「あ、うん、そう、か、彼女・・・なんだ。
 えっと・・・着付け教室の帰りに俺んちに寄ってくれて・・・」
く、苦しい・・・なんだその設定。
でも、ジョーは特に気にした風でもなく、
「へえ、お嬢さんなんだなー。俺、風早の友達の城ノ内宗一。はじめましてー!」
なんて自己紹介するから、黒沼も、
「あ、私、黒沼爽子です、はじめまして。風早さんにはいつもお世話になってます。」
と、真っ赤になりながら自己紹介する。

「俺、晩飯の買い出しに行くから、じゃあね~。今後とも宜しく~。」
と、ジョーが去ってしまうと、黒沼が、
「ど、ど、ど、どうしましょう!お友達に誤解されてしまいました!!
 か、か、か、彼女だなんて!風早くんにご迷惑がっ!!」と、慌てている。
「あー、勝手に彼女ってことにしちゃってごめんな。
 変に否定するのもおかしいかと思って、その、嫌だったよな?」
「わ、私は嫌なんて、そんなわけないです!
 でも、風早くんかっこいいからやっぱりモテるんだよね!?
 なのに私が彼女だなんて、か、風早くんの名誉が!」
「モテたりなんてしてないよ!ジョーがなんか勘違いしてんだよ!
 それはまあ、いいんだけど・・・じゃあ、その・・・
 悪いけど黒沼、当面俺の彼女ってことにしといてもいい?
 それと、ジョーに見えるんじゃ案外見える人って多いのかもしれないから、
 その、着物、なんとかした方がいいかもしれない。
 やっぱり和服って目立つもんな・・・一旦部屋に戻ろう。」

今かけた鍵を開けて部屋に入ると、黒沼も続いて部屋に入りドアを閉めた。
カッコつけて平静を装ってるけど、黒沼が俺の彼女だと思われても
嫌じゃないって言ってくれてかなり舞い上がってる。

あー・・・だけど、着物を何とかって言ったって、
俺の部屋に女の子の服なんてあるわけ無いし、
服って言ったらあたりまえだけど俺のしか無い。
当然大きいだろうけど、ベルトとかで締めて着てもらうしか無い。
俺の持ってる中で、比較的タイトな物を選ぶ。
と言っても、あんまりフィットした服好きじゃないから困ったな。
ストレートの黒のカラージーンズとTシャツと・・・
暖色系のチェックのシャツがあったっけ。
袖がロールアップになってたからちょうどいいかも。

「こんなのしか無いけど、なんとかこれに着替えてくれる?」といえば、
「あ、ありがとう。風早くんのお洋服お借りするなんて、恐縮です。」
といったかと思ったらするすると帯を解き始める。

「わ、わ!ちゃんと後ろ向いとくからね!」と背中を向けた俺のすぐ後ろで
衣擦れの音が聞こえてドキドキする。
「あ、どうもすいません。お見苦しいところを・・・直ぐ済みますので。」
「あ、慌てなくて大丈夫だから・・・。」って、慌ててんのは俺の方か・・・
暫くして、
「一応着れたんだけど・・・ズボンが落っこちちゃいそうで・・・」と言うので、
「うん、俺のだから大きいと思うよ。
 ベルト通してあげるから、もうそっち向いて大丈夫かな?」って訊いたら、
「うん。」って言うから振り向いたら・・・殺人的な可愛さだった!

こういうのを「彼シャツ」とか言うんだろうか・・・まあ、俺、彼じゃないから
正確に言うと違うけど、男物のでっかい服を着てる女の子って・・・
っていうかもう、黒沼ってとんでもなく可愛い!
カラージーンズのウエストんトコを落ちないようにキュって持ってる黒沼が・・・

「あの・・・風早くん・・・。あ、やっぱり洋服なんて似合わないかな?」
なんて言うから、
「とてつもなく可愛いよっ!」って思わず言っちゃったら、
「とてつもなく・・・!?」と、絶句しながら真っ赤になって俯いてしまった。

「あ、ああ、ごめん!そう、ベルトしないとね!」と、
ジーンズのウエストにベルトを通していくと、
図らずも黒沼の腰に抱きつくような体勢になってることに気づいて
「うわっ!ごめん!!こんなっ!」って俺が焦って離れたもんだから、
ジーンズがずり落ちそうになって、なんとか黒沼が、
「わ、わわ!」って焦ってジーンズを押さえたから事なきを得た。
「これに順番に通して一周すればいいんですね。大丈夫、自分でできます。」と
黒沼が自分でベルトを通してくれてホッとした。
あの体勢はヤバイよ、ヤバイ・・・
黒沼はなんとも思ってないみたいだけど、俺はもう心臓バクバクだよ。
「で・・・この金具に通すのかな?」ってこっち向いた黒沼も
心なしか上気して頬が赤くてなんか恥ずかしそうだったけど、
女の子なんだから、仮にも男に腰に手を回されたら、
そりゃまあ、恥かしいのは恥ずかしいよな・・・
今度は近づき過ぎないように注意してバックルの止め方を教えた。
「うん、これで大丈夫。もうズボン、落ちないよ。ありがとう。」
と、黒沼がヘニャっと笑った。

なんとか着替えを済ませてやっと買い物に行くことにした。

しばらくは横に並んで歩いていたけど、商店街に近づくと人が増えてきたんで、
当初の予定通り黒沼に俺の後ろにぴったりくっついて歩くように言えば、
俺のシャツを軽く掴んで一生懸命真後ろを付いて来た。

予定通りなんだけど、なぜだか妙に周りからの視線を感じる。
確かに二人で連れ立って歩くのにこの体勢が変なのは分かる。
だけど、周りの人が変だと分かるってことは、
周りの人に黒沼が見えているってことに他ならないのだが・・・?

「黒沼。ちょっと変な事訊いていい?」
「はい、なんでしょう?」
「黒沼って、鏡とかガラスには映るの?」
「普通は映らないですけど、頑張れば10分程度なら映るようにもなれます。」
「今・・・頑張ってないよね?」

俺達がいるところはスーパーの前で、俺達に面した壁面はガラス張りになっていた。
そこには俺と、俺の背中にぴったり張り付いている黒沼の姿が写っていた。
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