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  二次創作の文を置いてます。 駄文ばかりに付き読後の苦情はご勘弁を。 コメントのパスワードは「君に届け」です。
                       
   
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「風早先生」二話目です。
あんまりだらだらしない早い展開というのを目標にしたい。
あくまで目標です!!
いつものように台詞多いです。
結構書いてるんだけど、文を書くのは上達しないもんですねえ。



拍手[7回]

   

   



2 爆弾


入学式から2週間ほどがめまぐるしく過ぎていった。
昨年度まで、体育教官室と体育館とグラウンドにしか用がなかったんだけど
副担任になってから普通に校舎を歩くようになった。

歩いているとやたらと生徒から声をかけられる。
1-D以外の生徒からも苗字呼び捨てで結構呼ばれるんだが、
学生時代から男女問わず「風早」と呼ばれてきていたから
全然気にもせずに普通に返事をしてたら
「若い先生はいいですね。親しげに呼ばれて、教師の威厳は無しですね。」
なんて、少し年配の先生方に嫌味を言われてしまった。
まあ、もともと俺には威厳なんて無いんだけど。


クラス委員長は黒沼、副委員長が三浦と決まり、
三浦の議事進行で他の委員とかもつつがなく決まった。
三浦はクラスをまとめるのがかなり上手い。大したもんだと思う。 

一週間後に入学生オリエンテーションがあるんだけど、
そのための作業で放課後、黒沼と三浦に残ってもらう事になった。

「一年生全員の分のオリエンテーションのしおりを作る作業を
 『翔太がやるからだいじょーぶ!』ってピンが安請け合いしてさー・・・」と
軽く愚痴ったら黒沼が、
「私でよければいくらでもお手伝いします。なんでも言ってください。」
って言ってくれて、
「貞子ちゃんがやるなら俺も手伝いますよ―。」と三浦も残ってくれたんだ。


しおりの内容が印刷されたB4の用紙をひたすら半分に折っていく。
そしてそれを番号順に並べてステープラーで綴る。
これを新入生の人数分作る超単純作業だ。
三浦のような奴が黙ってできる作業じゃないよな。

「センセー・・・ちょっとピンセンセーの言いなりになり過ぎなんじゃないっすかぁ?
 嫌なことは嫌ってちゃんと言ったほうがいいと思うんすけど。
 貞子ちゃんもそういうのハッキリ言えたほうがカッコイイって思うよね?」
と、三浦が黒沼に話を振る。

「え?でも、風早先生はこの仕事が嫌だなんて言ってないよ。
 ただ一人でやるには量的に大変なだけじゃないかな・・・
 あの、先生・・・違いますか?」
今度は黒沼が俺に話を振ってくる。

「うん。そうだよ、違わないよ、委員長。
 こういう作業もやっとけば今後のためになるかなとは思うんだよ。
 ただ、一人じゃ今日中に絶対終わんないからなあ・・・
 二人には手伝ってもらって悪いけど、ホント助かるよ。」
別にいい子ぶってるとかじゃなくて、これは本心なんだけど、
総じて黒沼は俺のことを多少買いかぶってると思う。
俺はそれほどいい教師じゃないんだけどな・・・

「私はこういう作業も好きです。
 先生のお役に立てるのは嬉しいし・・・
 でも三浦くんは、クラス委員の仕事じゃないから
 無理に私に付き合わなくても良かったのに。」

「あ、俺も別に嫌じゃないよ!
 貞子ちゃんと一緒にやれるなら楽しいしね!」

三浦はそんなことを言って黒沼にウインクした。
きっとウインクされたことなんかなかっただろう黒沼が
大きく目を見開いてカチンと固まってしまった。

「三浦と委員長は仲が良いんだな・・・」と思わず呟いたら、
「そーなんすよ。俺と貞子ちゃん、超仲良し!!」と、三浦が言った。
「あ・・・中学が同じだから。三浦くんはとても親切な人だから・・・」と黒沼が慌てる。

これはあまり深く立ち入るべき話題じゃなかったかと
「そーなんだ・・・」と軽く流しておく。

三浦は黒沼にやけに絡んでくるから、
好きだったりするのかと思うんだけど、
言ってることがチャラすぎて真剣味が伝わってこない。
まあ、俺に伝わらなくてもいいんだけど、
多分本人にも伝わってないんじゃないんだろうか。
・・・っていうか、真剣なのか?

それに黒沼自身も三浦を憎からず思っているんじゃないだろうかとは思う。

どうやら黒沼はあまり人付き合いが上手くはないようだ。
しかも、俺からしたら「何処がだよ!」と思うんだけど、
「暗い」とか「怖い」とか「オカルト映画のキャラに似てる」とか言われて、
「貞子」と呼ばれたりしてるらしい。
三浦が「貞子ちゃん」と呼ぶのもそこかららしいけど、
「ちゃん」付で呼ぶのはどうやら三浦くらいのようだ。
それなら正しい名前で「爽子ちゃん」と呼べばいいのにと思わなくもないが、
まあそれは俺がなんか面白く無いからあえて言及しない。
大人げないと言いたきゃ言え。
別に三浦が呼びたいと言ってるのに呼ぶなと言ってるんじゃないんだから。

とりあえず、そんな周りから意味もなく怖がられて友だちもできなかった中で、
三浦は中学の時からかなり黒沼に構っていたみたいだから、
黒沼にしたら嫌う要素なんか無いんだろうなあ。
三浦は見た目もけして悪くない。
高1のくせに俺より背が高いし、顔もまあ十人並みだ。
女子にはやたらと優しいし、もしかするとモテるのかもしれない。
黒沼がどんな男を好きかわからないけど、
それが三浦だったとしても納得せざるを得ない・・・よなあ・・・。




新入生の人数分のしおりが出来上がる頃にはとっぷりと日が暮れてしまった。


「二人のおかげでなんとか今日中に作業が終われて助かったよ、サンキューな。」

「あ、センセー、もう暗いから、俺、貞子ちゃんを送って行きますよ。」

「え?いや、俺の仕事手伝ってもらって遅くなったんだから
 委員長は俺が送っていくよ。
 三浦なんかに送らせたらかえって危ない気もするし・・・」

「なんすか、それ!
 センセー、俺に対してちょっと言いたい放題過ぎるんじゃないっすか!?」

「あ、あのっ!私一人で帰れますから、全然大丈夫ですから!」

「「こんな暗い中、一人で帰せるわけ無いでしょ!!」」

「えっ?えっ?でも、ち、近いですし、すぐそこなので・・・」

「うん。すぐそこだから送っていくよ。」

「センセーだって危ないんじゃないんですか~?
 センセー、もしかして貞子ちゃんの事好きなんじゃないんですか~?」

「な、なにいってんだ!俺は教師なんだから・・・。」

「教師って聖職者とか言っても、結構変態じみた事件起こすの
 教師だったりすんじゃないですか~。」

「か、風早先生は・・・変態なんかじゃないです!!」

「えっ?!なに?もしかして・・・貞子ちゃんもセンセーの事好き・・・とか?」

「あわわわ・・・まさか、そんな、だって、先生は先生で、私は生徒で
 好きとかそんな・・・そんなことある訳ないよ!」


自分でもやんわりと否定したくせに、
黒沼に否定されるとなんかチクっと胸に痛みを感じるような気がした。

やっぱり俺は黒沼に他の生徒には感じていない
特別な感情を持ってしまっているのかもしれない。

たぶん今まであった女の子の中で黒沼の可愛さは突出してると感じてしまった。
可愛さなんて言葉で言い表せているとも思えない。
存在に対する愛しさ・・・みたいなもの・・・それを感じてしまったのは仕方がない。
多分あの入学式の前に出会った時から俺の胸の奥に芽生えて、
日を追うごとに、少しづつだけど着実に成長している気がする。

だけど、俺は教師という立場なわけだから、
他の生徒と平等に接するように努力しなくちゃいけないと思う。

そんなことを思ってたら、黒沼の言葉を聞いた三浦が爆弾を落とした。


「よかったー!俺、実は中学ん時から貞子ちゃんの事好きだったんだよね。
 貞子ちゃんがセンセーの事好きだったら困るな~って思ってたんだけど、
 違うって聞いて安心したよ。
 こんなふうに言っちゃったけど、俺、至って真剣だから。
 返事は急がないけど、ちゃんと俺のことそういう風に考えてよね、貞子ちゃん。」


俺が黒沼を見てどう思おうとも青春ドラマの舞台に上がるのは
教師の俺ではなくて、生徒たちなのは当然だ。
わかってるさ。

でもなんで、大事な告白ってやつを俺の前でするんだ、三浦。
それを受けてびっくり顔で、何で俺をじっと見るんだ、黒沼。


そうこうするうち、すぐそこだという黒沼の家についた。

「あ、あの・・・送ってもらってありがとうございました・・・。」
と言って家に入ろうとする黒沼に、
「ホントにちゃんと考えてね、貞子ちゃん。」と三浦が念を押す。


黒沼が家に入ったのを見届けて、
「三浦も気をつけて帰れよ。」と言えば、
「俺は送ってくれないんすか~?」と冗談を言う。
「何で俺よりでかい男送ってくんだよ、とっとと帰れ。」って嫌な顔してやれば、
「つ~めた~い~~。」と言いながら帰っていった。
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