8 面談
なんか行事が終われば、普通の日々が戻ってきて、
普通の日々はあんまり意識しないから
気が付けばそんなに日が過ぎてたっけなんて思うこともある。
2週間とかあっという間に過ぎてたりして、
その2週間何してたっけ?とか
考えてみてもさっぱり分からなかったりする。
それでも毎日学校に来てタイムテーブルをこなしていたはずだ。
まあ、逆にそうじゃなければ記憶にも残ってたんだろうけど。
社会人になってその生活にも慣れてくるほどに顕著に感じる
1週間何してたっけ、1ヶ月何してたっけ・・・だ。
四月、五月はいつの間にか過ぎていた。
ああ、五月は中間考査があったっけ。
黒沼が3番でビックリしたっけ。
三浦も意外と15番とかで。
俺、高校の頃の順位なんてずっと3桁で、
もうちょっと頑張れば2桁行けそうでも
あんま頑張る気もなくて、
30番以上なんて、すげえ奴らも居るもんだとか思ってて、
一桁なんて幻のポケモンみたいに思ってたよな~。
で、気がつけば六月なんだけど・・・
なんと六月には保護者面談というのがあるのだ。
生徒の保護者と面談するんだ。(そのまんまだな・・・)
つ、つまり、黒沼の親御さんともお会いすることになるという・・・
こういう個人的な感情で、
生徒の保護者に対して変な緊張感を持ってしまうのは
教師としてあるまじきことなんだろうけど、
解ってたってどうしようもないこともある。
保護者の方の都合を伺うプリントの回答がやっと出揃ったので
面談のタイムテーブルを作って、各人に間違いのないように
日時のお知らせを作らなければいけない。
いつの間にか過ぎていく時間の中でも
やらなければならないことはそれなりにいつも満載だ。
とりあえず変な緊張感は積極的に忘却の彼方に追いやって
仕事を片付けていこう。
今どきは子供が高校生ともなると大体のご家庭が共働きだ。
それぞれの家庭でそれぞれの勤務時間で働く母親だったり
父親だったり、その他だったりの都合を十日ほどのタイムテーブルに
いい感じに当てはめていかないといけない。
こういう作業ってのは誰かに手伝ってもらう訳にはいかないよな・・・。
せめてこういう段取りで決めていけば上手くいくみたいなのがあれば・・・。
ん~・・・、ピンに訊くのが一番早道だろうなって
やる気満々で職員室に戻ったら俺の席にピンが座っていた。
「あれ?なんで俺の席に?
でもちょうど良かった。訊きたいことがあったんだよ。」
「そろそろ個人面談の回答が返って来た頃かと思ってな。」
「そう、そのタイムテーブルの作り方にコツがあったらって・・・
思ったんだけど・・・あれ?コレ、ピンがやってくれんの?」
「おー、当たり前だろが。個人面談は担任の仕事だ。」
「それを言ったら、HRもSHRも担任の仕事じゃん。」
「そうだな、コツを教えてやるからタイムテーブルまで翔太作れ。
面談は任せておけ。」
「でも・・・生徒のこと分かんの?」
「担任様を馬鹿にすんじゃねえ。HRなんぞ出てなくたって
ちゃーんと生徒のことは把握してるってんだ。
成績とかの資料は当然翔太がまとめてるよな。きっちり纏めとけよ!」
訊きたかったことは訊けたけど、正直ちょっと気が抜けた。
面談はピンがやってくれるってことで、
黒沼の親御さんに会うんだなんて緊張してたのが
そんな必要なくなって、良かったような残念なような・・・
まあ、もともと生徒の保護者だと思わなくちゃダメだろって・・・
そんなことは分かってんだけど・・・。
なんて言うか・・・
やっぱり、『親に会う』って言ったらなんか、こう、
『お嬢さんをボクにください!』って言いに行くとか
そんな妄想を・・・
あ~・・・何言ってんだ、俺!黒沼には
『先生は先生で、私は生徒で、
好きとかそんな・・・そんなことある訳ないよ!』
って、ハッキリ言われてるってのに・・・
俺ばっかり10歳も年下の女の子のこと
どんどん好きになっちゃって・・・
ホントに馬鹿みたいだ・・・
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