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  二次創作の文を置いてます。 駄文ばかりに付き読後の苦情はご勘弁を。 コメントのパスワードは「君に届け」です。
                       
   
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なんかほんと長くなりそうなんで
10話で一括りにしてみようかな。
ここではこのままこの後も続けますけどね。
Pixivの方に10話で一旦上げてみようかなって。



拍手[6回]

   

   


10 頑固


黒沼のおでこはお母さんの言うとおり3、4日で綺麗に治った。

なぜだか吉田と矢野に「痕が消えるまで爽子を家まで送るように!」
なんて言われて、俺にしたら罰でも何でもなく、どっちかって言ったら
ご褒美みたいなものだったんだけど、5日目の朝に黒沼に
「もうすっかり治りました。」とおでこを嬉しそうに見せられて
それも終わってしまった。

まあ、そろそろ雑用も溜まってきてたし
いつまでも続けられることじゃなかったけど
治ったと報告してきた黒沼の嬉しそうな顔を思い出しては
俺は楽しかったけど、黒沼には有難迷惑だったのかもと思う。

送っていけばいつもニコニコと出迎えてくれた黒沼のお母さんには、
『なんか俺、気に入られた?』みたいに思ってた。
送っていけばその帰り道、黒沼だって楽しそうに見えたんだけど・・・
でも考えてみれば人の行為に対して
黒沼が嫌そうな態度をとったりするわけ無いか・・・
お母さんも黒沼のお母さんなんだからきっとそんな感じの人なんだろう。

今までどおり黒沼は俺の雑用を率先して手伝ってくれるけど
黒沼はいつだって他人の役に立ちたいと思って行動する娘だから
俺がピンのおかげで割りといつも雑用抱えてるからで、
俺のためとかじゃないんだと自分に言い聞かせる。

そういえば最近は三浦は自分の仕事以外では残らなくなった。
もちろん頼めば快く残ってくれるんだが、
黒沼が残るんなら自分もというのはなくなった。
長期戦で頑張るようなことを言ってたのに諦めてしまったんだろうか?
でも、日中は今までどおりちょっとムカつくくらい仲良さそうだ。

なんだろう、最近自分でもどうかと思うほどネガティブ思考な気がする。


オリエンテーション以降他の女生徒からも何度か告白されたんだけど、
いかに遺恨を残さず且つスッキリきっぱりと諦めさせるか、
なんてことを真剣に考えてることが、やたら虚しく感じる。

俺なんかのどこがいいんだろう?
三浦の方がずっといい男だと思う。
彼氏にするなら三浦のほうがきっと幸せに付き合えるだろう。
あいつはなんだかんだ言っても心の広い優しいいいやつだ。

最近、放課後黒沼と行動を共にしないのには
なんか理由があったりするんだろうか?
『他にもっと好きになる娘に
 出会っちゃったりしたら軌道修正しますけど。』
なんて言ってたけど・・・もしかして出会っちゃったんだろうか?

そんなこと考えながら廊下を歩いてたらばったり三浦に会った。

「ちょっとセンセーに話あるんすけど、いいっすか?」
と、三浦が言うからどうやらばったり会ったわけではないらしい。
昼休みは体育教官室に戻ってくるだろうとふんで待っていたようだ。

「いいけど、お前昼飯は?」と訊けば、
「パン持って来ました。良かったらセンセーの分もあります。」と言う。

なんて言うか、抜け目のないやつだ。
「じゃあ、ちょっと待ってて。」と言って、体育教官室に入って
体育館の舞台袖の鍵を持ってくる。
昼休みも体育館は部活が使ってたりするが、舞台袖は無人のはずだ。
体育館の裏にまわりドアの鍵を開ければ直接舞台袖に入れる。

「ここでいいか?」

「さすがセンセーっすね。こういう場所でいつも秘密の話してるんすか?」

「なんだよそれ・・・俺がいつも誰かと密談してるみたいに言うな!」

「いや、なんかセンセー告白されまくってるって聞いて・・・」

「誰に聞いたんだよ、人聞き悪いな・・・
 そもそも、向こうから言ってくるんだから俺が場所指定するわけ無いだろ。
 あ・・・いや・・・そんなことはどうでもいいだろ、
 昼休みなんて直ぐ終わっちゃうから
 さっさと本題に入れよ、話があるんだろ?」

「あー、そうっすね・・・じゃあ、結論から言いますけど
 俺、貞子ちゃんのこと諦める方向に頑張ることにしましたんで。」

「え?好きになってもらうためにじゃなくて?
 中学からずっと好きで長期戦で頑張るんじゃなかったのか?」

「そのつもりだったんっすけど、ちょっと状況が変わったんで。」

「状況?
 お前、他に好きな娘ができたのか?」

「俺に好きな娘ができたんなら諦めるとか言いませんよ。
 あ、それと、今までどおり大事で大好きな友だちですけどね。」

「あー・・・うん・・・で、なんでそれを俺に報告すんの?」

「俺が彼氏になって貞子ちゃんを幸せにしたかったんすけど
 そこは諦めたんで、俺じゃないならセンセーがいいなと思って。」

「いや、いいなと思ってって・・・それはお前が決めることじゃないだろ。」

「まあ、そうなんすけど・・・
 センセー、貞子ちゃんの事好きでしょ?
 俺、センセーにもっと頑張って欲しいんすよ!」

「俺は・・・ダメだよ。
 俺は教師だから、生徒を好きになったりしないと言っただろ。」

「そんな建前はいいんすよ、センセー。」

「建前じゃねえよ。これは俺の信条っていうか、そういう・・・」

「じゃあ、センセーは貞子ちゃんの事好きじゃないんですか?」

「う・・・いや、黒沼は・・・かわいい生徒だよ・・・
 副担任として受け持ちのクラスの生徒って意味でだな・・・」

「それ以上の意味は無いって言い切れるんですか、センセー。」

「も、もちろんだ。俺は1-Dの生徒は平等に大事に思って、る。」

「あ、じゃあ、俺も貞子ちゃんとおんなじくらい好きだと?」

「あ、なんか気持ち悪い・・・」

「え?俺だけダメってことですか?!」

「いやいや、好き・・・じゃないけど、お前は意外と良い奴だとは思ってる、ぞ。」

「意外っすか~、まあいいっすけど。
 いや、まあ、俺のことはいいんすけど、
 俺を貞子ちゃんと同じに好きだと思ったら気持ち悪いのは、
 センセーが貞子ちゃんをかなり好きだからじゃないっすか。
 いい加減認めてくださいよ、別に言いふらしたりしませんし。
 建前にしても信条にしても自分の気持ちに嘘ついてるんでしょ?」

「俺が教師である以上、生徒は平等に大事だって言ってるだろう。」

「風早センセー・・・頑固っすね・・・。
 夏休み入っちゃったら一ヶ月以上も貞子ちゃんと会えなくなっちゃいますよ。
 いーんすかあ?」

「そ、そんなの当たり前だろ。良いも悪いもないだろう。」

そうだよ、俺は頑固だよ。
でもお前もなんでそんなに自分の好きな娘と俺を
くっつけようとするんだよ。
お前の考えてることさっぱりわかんねえよ。
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