２５歳プロポーズ済み風早、高１ですよ、「T.N.G」！

大丈夫かな？混乱してないかな？

ではどーぞー！

[7回]

　　　

４　慣れって怖い！


早速黒沼はクラス委員になって、毎日忙しく働き出した。
週に一、二回は放課後も残ってなんか仕事をしてるみたいだ。

黒沼が残るみたいだと分かると、
「ちょっとピンに呼ばれてて。」とか言って
ジョー達には先に帰ってもらって黒沼に手伝いを申し出るが、
「これは私の仕事なので！」と、なかなか手伝わせてもらえない。

それでも何度か黒沼の役に立ちたいと言い続けていたら
「じゃあ少しだけ・・・。」と手伝わせてもらえるようになった。
『よし！少し心を開いてもらえたぞ！』と嬉しくなりながら
黒沼と放課後楽しく雑用を続けていた。

そんな日がしばらく続いて・・・ふと思ったんだけど、
この俺の行動は黒沼にどう写っているんだろうか？
もしかして、変にまとわりついてくるしつこい奴とか・・・
そんなふうに思ってたらどうしよう。

俺は黒沼の事良く知ってて大好きだけど
黒沼にとっては俺、同じクラスにはなったけど
全然知らない奴で・・・

でも、この雑用のおかげでとりとめのない話なら
ほとんど俺の方から一方的だけど、してきたから・・・
迷惑かどうか訊いてみよう・・・そう思って、訊いてみた。

「あのさ、俺、凄く勝手に手伝い申し出て手伝ってるけど、
　もしかして黒沼、俺のこと
　まとわりついてくる、しつこい奴とか思ってる？」って訊いてみたら、
黒沼は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して固まった。

「あ・・・もしかして図星？」って言ったら、

「ま、まさか、まさか、そんなバカな！！
　風早くんは私なんかがやってる雑用に気付いてくれて、
　あまつさえ手伝ってくれて・・・
　なんていい人なんだろう、神様みたいな人だって・・・
　お、思ってました！！」と答えてくれた。

・・・良く思ってくれてるのは分かるんだけど、
神様ってまた・・・果てしなく遠い存在だな・・・
もう四月も終わろうっていうのにこの距離感じゃ
俺の誕生日に告白は無理があるだろうか・・・
なんて思ってたら・・・

「でも・・・
　もうお手伝いはいいよ・・・
　もう今日で風早くんは終わりにして下さい。」

「え？何言ってんの黒沼・・・」

「私の手伝いなんかしてくれても
　風早くんにいいことなんてなにもないよ。」

「あるよ！俺は黒沼の手伝いできて嬉しいもん！」

「でも・・・でも、変に思われてるよ！」

「誰にだよ！？・・・もしかして、また、噂！？」

「え？知っているの？」

「知らないけど、噂なら俺は何言われても気にしないし、
　黒沼が困ってるなら、必要なら俺がなんとかする。
　噂なんかのために黒沼とのつながりを断ったりしない。」

「私と風早くんとのつながり・・・？
　入学式の朝の事言ってるの？
　だとしたら、もうちゃんとお礼言ってもらったし・・・」

「お礼とかじゃなくて、俺が黒沼の役に立てたら嬉しいからからやってるんだよ。」

「なんで？どうしてそんなこと
　風早くんみたいな人が私に言ってくれるの？」

「なんでって、そんなの・・・黒沼が好きだからだよ！！」



あああっ！！しまった！
俺まだ絶対黒沼に好きになってもらってないよな！
なんとか早く好きになってもらって、
それから告白とか散々考えてたってのに・・・

だって俺はもう「黒沼が好き！」なんて何百回も言ってるから
気が付いたら思わずスルッて口から出てた！！

とにかく前もって用意してたこの台詞だけは言っとかないとな。



「すぐに答え出さなくていいから、俺の事考えてみて。」