どうもご無沙汰です。
えんもゆかりも　＃３　面倒なこと？　をお届けです～。

書きながら「なんの問題もなさすぎだよな～」と思ったりしたんですが
でも君届本編だって
「じゃあなんの問題もないじゃん」
「ないんだってば最初っから！！」
ですもんね。

またセリフばっかになってますが
私の頭、漫画で出来てるんでお許し下さいね。

ではよろしかったらおひとつ～

[6回]

　　　

３　面倒なこと？


神社の片隅で私と風早くんは
さっき渡されたばかりの政府通知の封筒を
それぞれ開けて中に入っていた通知書を取り出した。

ドラマなんかで見た婚姻届に似た仕様のその通知書には
「夫のなる人、風早翔太、妻になる人、黒沼爽子」と
本当に書いてあった。

「か、風早くん・・・風早くんの名前が書いてあるよ・・・。」

「うん。俺のにもホントに黒沼の名前が書いてある。」と言って
ほら、と風早くんの政府通知を見せてくれる。

まさかこんなことになるなんて・・・
私は風早くんのことを好きでいるだけでよかったのに
こうなってしまってはそれすら許されない。
風早くんから拒絶の意思表示を受けなくてはならない。
そうしなければ風早くんは私と結婚することになってしまう。
さすがに陰気特典でそれはない・・・。


「ご、ご、ご、ごめんなさい。
　なんか面倒なことになってしまって・・・」

「え？ええっ？！ちょっ・・・な、なに、面倒なことって？！」

「私も詳しくは知らないんだけど、政府通知を断るのには
　なんかとても面倒な手続きが必要だとか聞いたことがあって・・・」

「え・・・断るって・・・黒沼はこれ、断るつもりなの？」

「わ、私じゃなくて！私が断るなんてことあるわけないよ！
　だって私が相手なんだよ、断らないと私と、その・・・
　け、結婚・・・することになっちゃうんだよ！！」

「俺だって断らないよ。
　さっき『政府通知の相手が黒沼で嬉しいよ。』って言ったの
　聞こえてなかった？黒沼も同意してくれたと思ってたんだけど？」

「そ、それは・・・風早くんは優しいから社交辞令で言ったくれたんだと。」

「そんなこと社交辞令で言っといて後から断るって
　それ優しくなんかなくてヒドイ奴じゃん！！」

「い、いや、それは、そんなの・・・相手が私なら誰だって断るもの！」

「それは黒沼が決めることじゃない！
　俺が決めることだ！・・・
　俺は断らないし・・・
　科学の赤い糸の相手が黒沼でスッゲー嬉しいし・・・
　で・・・黒沼も断わらないっていうんなら
　俺たち婚約者同士ってことになるんだけど・・・」

「政府通知を断るとペナルティがあるっていうのも聞いたことがあるよ。
　就職活動で不利になったりすることもあるって・・・。
　特に男子にとってそれは大変なことだと思うし
　この際我慢してって思うのかもしれないけれど・・・
　でも、やっぱり結婚は一生のことだし
　好きな人とした方がいいんじゃないかな！！」

「黒沼はそんなに俺に断わらせたいの？」

「もし風早くんが私が断ったほうが都合がいいのなら
　ペナルティは私が受けてもかまわないよ！」

「さっき黒沼は断わらないって言ったのに・・・。」

「そ、それは・・・断りたいわけではないから・・・。」

「だったら断わらないでよ！
　俺も断わらないってさっきから言ってるよね？
　だって俺、黒沼の事好きだし！！」

「でも、そんなの・・・だって、恋愛とかじゃないんでしょう？」

「・・・それって、さっき俺が厚生労働省の人に言ったことを言ってる？
　さっきは黒沼の相手が俺の知らない誰かだと思ってたからあんなこと言ったけど
　相手が自分だってわかってたらあんな言いたくないこと言わなかったよ。」

「・・・風早くんは私と婚約者同士になっても本当にいいの？」

「さっきから俺はずっとそう言ってるでしょ。」

本当の本当に私と風早くんは婚約者同士・・・
になるのかもしれないみたい・・・