黒沼の部屋に入って、「ささ、ずっと奥へ。」と通される。
と言ってもキッチンと一部屋あるだけだけど。
思ったよりもずっとシンプルな部屋だ。
置いてある物はピンクが基調になってて
やっぱり女の子の部屋だなってかんじだけど
物が極端に少ないからシンプルだと感じるんだな。
「やっぱり、彼女の部屋に入るのって緊張するな・・・」
「え?私の部屋なんかに緊張しなくていいよー。」
「黒沼の部屋だから緊張するんじゃん!分かってないなー、もう・・・
・・・ところで、この部屋って他に誰か来たことあるの?」
「う、うん。あやねちゃんはもう何度か。
あ、ちづちゃんとあやねちゃんが泊まりに来てくれたこともあるよ!
あと、陽子ちゃんたちが、急に休講になった時とかに・・・
学校から近いからね。」
「女の子だけだよね!」
「男子は・・・あやねちゃんと一緒に師匠が一度来てくれたことがあったよ。」
「・・・三浦か・・・。黒沼、三浦のこと好きだよね・・・。」
「え?え、だって師匠、いい人だもの・・・
でも、好きって言っても、その、風早君を好きなのとはぜんぜん違うよ!」
「どう違うの?」
「どう・・・って、うーん、師匠はいい人だなーって思うけど・・・
か、風早君は、風早君は、えっと、凄く凄く・・・大好きだなあって・・・
遠くに居ても、できれば一日一度は声が聞きたいし、
近くに居たら、ドキドキしちゃって、心臓破裂しそうで、
それなのに、とっても触りたいとか思ってしまって
どうすればいいのかわからなくなってしまって・・・」
「・・・ありがとう、俺のことそんな風に思ってくれて。
触りたいって思ったらどんどん触ってくれて構わないよ。
お、俺は男だから触りたいって思ったって
思ったままに触るわけには行かないけど。」
「私も構わないよ、風早君だったら思ったままに触ってくれて。」
「ダ、ダメだってそんなこと言っちゃ・・・」
「あ、あのね・・・実は・・・プレゼントを用意してたんだけど・・・
でも、渡そうかどうか凄く迷ってて・・・
もしかすると、風早君には迷惑な物かもしれないんだけど・・・
要らなかったら捨ててくれて全然構わないんだけど・・・。」
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