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  二次創作の文を置いてます。 駄文ばかりに付き読後の苦情はご勘弁を。 コメントのパスワードは「君に届け」です。
                       
   
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今回も風爽loveさんにキリリク頂きました。
27000番分のリク「夫婦になってもラブラブなお花見」
だったんですが、いつもの様にラブラブ?って感じになっております。

もうGWも終わってちょっと季節外れになっちゃってますが
ちょっと前の桜咲き乱れる季節を思い出してお読み下さいませ。

そんな感じですがよろしかったらおひとつ・・・





拍手[13回]

   

   


私たちお花見しました。


本当にこの卒業から入学のシーズンには
どんな鈍感な人だって桜が咲いてるのに
気が付かないわけ無いって言うくらい桜が咲く。

殊に学校の周りは桜の木が多くて
私が教鞭をとっている高校も
この時期桜がとても見事で・・・

そしてもう一つ、すごく身近に小さいけれど綺麗な桜があって
どこかというと実は、私たちの家の庭なのです。
うちはアパートだけど一階の部屋なので
ささやかながら庭があって
私たちが住み始めるよりたぶんずっと以前から
桜の木が植えられていて
私たちがこの部屋を見に来た時も綺麗に咲いていた。

この庭で家庭菜園なんかもちょっとだけできるのも
この部屋に決めた大きな要因のひとつだった。

結婚式を6月に決めて、ふたりで新居を探していたあの頃から
もう一年が過ぎたのかと思うと感慨深いなあ・・・

でも身近に綺麗な桜があっても、
私は教師仲間と、翔太くんは会社の人達と
それぞれお花見に行くことになっていた。

私たちのお花見は日曜日の日中で、
翔太くんの方は土曜日に会社が終わってから
夕方から夜にかけてとのことで、
考えてみれば、結婚してから
日曜日に別行動するのも
晩ごはんを一人で食べるのも
初めてということになる。

大学時代は一人暮らしだったし
もちろんほとんど毎日晩ごはんは一人で食べていた。
それは当たり前のことで寂しいと思ったことも
それほどなかったけれど
ふたりが当たり前になったから
ひとりはきっと寂しいと思う。
翔太くんも日曜日にひとりは寂しいって思うかな?
男の人はそんなこと思わないかな?
もしかすると久し振りに羽根が伸ばせるとか思うかな?

少し気になったから翔太くんに
「日曜日は何して過ごすの?」と訊いてみたら
「ああ、ちょうど家の前でジョーと出くわして、
 たまには遊びに行こうっていうからさ、
 ジョーたちと遊びに行くことにしたんだ。」ということで。
「いいね!久し振りにお友達と遊ぶの!
 何して遊ぶの?」と訊けば
「ジョーとだからなあ、別に考えてないな。
 行き当たりばったりで・・・
 カラオケとかじゃないかなあ。」って。

結婚してから日曜は大体翔太くんが
あそこに行こうここに行こうって
色んな所に連れて行ってくれて
どこにも行かない時だって
「今日は1日家でまったりしよう!」って
それすら楽しいイベントみたいで・・・
翔太くんがふたりで出かけるのに
行き当たりばったりなんてこと今までなかったから
そんなこともあるんだってちょっと驚いた。

翔太くんのお花見の日が来て
翔太くんを会社に送り出したら
土曜日は私はお休みだから
その日一日何もすることがなくなってしまった。
洗濯も掃除も朝のうちに終わってしまえば
ポッカリと空いた私の時間・・・

そう言えば、仕事以外の時間はほとんど翔太くんとふたりで、
いろんなことをするのもいろんなところに行くのも
大体翔太くんが提案してくれて、
その提案はたいてい素敵なことで
私は「いいね!」って乗っかってるばっかりだった。
もしかすると私がそういうの苦手だから
頑張って考えてくれてたりするのかな?
それって結構大変なことなんじゃないのかなあ?
何も考えずに過ごせる友達との休日は
翔太くんにとって楽なのかもしれない・・・

翔太くんは人気者だし翔太くんの友達だって
翔太くんと遊びたいって思ってるかもしれないのに
ここのところ私が独り占めしちゃってて
全然友達と遊べてなかったよね・・・
申し訳なかったかも・・・

いろいろ考えながらお昼の用意をしていたら
うっかり二人分作ってしまって
しかたがないので食べられない分は
晩ごはんに回そうと思ったら
ますますやることがなくなってしまった。

いつの間にか物凄く翔太くんに依存した
生活をしていたのかもしれない。
翔太くんの方は明日、私がいないけれど
ちゃんと有意義に過ごせるというのに。

いつだったか翔太くんが
「俺きっと定年退職したら濡れ落ち葉になる!!」
って言ってたけど、もしかしたら私がすでにそれかも・・・

何もしなくてもそれなりに時間は過ぎて
お昼の残りの晩ごはんを食べながら
ぼんやり見るでもなくTVを眺めていたら
翔太くんからメールが来た。
『もうすぐ帰るよ。』の文字を見たら
なんだかうるっと来てしまった。

てっきりもっと遅くなるものと思ってた。
まだ八時半なのにもうお花見終わったのかな?
九時になる前にいつもみたいにインターホンが鳴って
「俺だよ、ただいま。」って翔太くんが帰ってきた。

「おかえりなさい!早かったんだね、お花見もう終わったの?」
って訊いたら、翔太くんがちょっとムッとした顔をした。

「爽子はもうちょっとひとりでのんびりしたかった?」
なんて言うからびっくりして言った。

「え?いや、とんでもない!
 これ以上のんびりしたら腐っちゃうよ!」

「ぷっ!なんだよ、腐っちゃうって?
 ・・・じゃあ、俺帰ってきてよかったのかなー?
 なんか帰ってくるの早すぎたっぽいこと言うからー。」

「ち、違うよ!お仕事終わってからだって言ってたから
 もっと遅くなるのかなって勝手に思ってて・・・
 早く帰ってきてくれて嬉しいよ!」

「ホントかな~?」

「今日一日、ひとりでいたらいろいろ考えちゃった。
 ふたりで居るのが当たり前になったら良いって言ったことあったけど
 ホントにずっと一緒に居るようになったら
 ひとりで居るとどうして良いかわからなくなっちゃうんだね・・・。
 今日ちょっと困っちゃった・・・。」

「そっか・・・正直に言うと俺もそうだよ。
 人の中にいるのは好きだったはずなんだけど
 その中に爽子が居ないんだなって思ったら
 なんか全然楽しくなくてさ・・・
 ほとんどみんな二次会に行ったんだけど
 俺、メインの花見だけで帰ってきちゃったよ。」

「明日は私の方のお花見だけど
 きっと私もそうだと思うよ。」

「爽子は大丈夫だよ。
 今日はひとりだったから寂しかったかもしれないけど
 人の中に居れば楽しめると思うよ。
 俺も明日はジョーたちと楽しんでくるから、
 爽子も楽しんでおいでよ。」


そう言われて翌日は私が
職場の学校の先生方とのお花見に出掛けた。
先輩の先生には可愛がられているし
後輩の先生には慕われて居ると思う。
とても恵まれた職場なのだけど、
いい人ばかりなのだけど、
こうして遊びに来るのなら
やっぱり翔太くんがいないとつまらないんだなーなんて
他の先生方にとっても失礼なことを思ってしまう。
ここにはこんなにいっぱい綺麗な桜があるけれど
私には家の庭の桜のほうが独り占めできて良いなあ・・・
なんて思う・・・

結局私もお花見が終わると二次会には行かずに帰ることにした。
帰ったところでひとりなんだけど私たちの家の桜が見たくなって・・・

翔太くんに「終わったらメールちょうだい。」って言われてたので
携帯を取り出してみたけれど、メールを送るのは思いとどまった。
楽しく遊んでるところにそんなメール送るのは
仲良しの友達同士に水を差すようで良くないんじゃないかな・・・
そう思ったんだけど、携帯がメールの着信を報せる
ランプを点灯させていることに気づいて携帯を開いた。
メールが2件来ていて、どちらも翔太くんからだった。

『今、家の桜でジョーたちと花見中。
 俺達の家なのになんで爽子が居ないんだろうって思う。』

『ごめん!さっきのメール、
 早く帰って来いって意味じゃないから。
 ちゃんと楽しんできてね。』

2つのメールを見たら・・・
どうしよう顔が緩んじゃう。

『今から帰ります。』ってメールしたら

『駅まで迎えに行く!』ってすぐ返事が来た。


メールの通り、最寄り駅についたら翔太くんが待っててくれた。
ふたりでプラプラと家路をたどる。
隣に翔太くんが居てくれることがこんなにも嬉しい。

駅前の明るい喧騒を抜けて
少し暗くなってきた静かな住宅地に入ってから私が
「あの・・・腕を組んでもいいかな?」って訊いたら、
「えっ!?ああ、もちろん!ど、どうぞ・・・」って
肘を曲げた右腕を差し出してくれる。 

差し出された右腕に私の左腕を絡ませて、
更に両手でギュッと翔太くんの右腕に抱きついたら
少し驚いたようなそぶりの後
ポンポンと頭をなでてくれて・・・
かと思えばヒョイと顎を持ち上げて唇を重ねた。

「え?え?こ、こんな外でそんなことー・・・」と言えば

「高校時代みたいだったでしょ。」と
イタズラが成功した男の子みたいな顔をしてニッコリ笑った。

「も、もう~・・・」と熱くなる頬を押さえながら
「あー・・・、そういえば城ノ内くんたちはどうしたの?」って訊いたら

「爽子帰ってくるんならもう寂しくないなって
 爽子がメールくれた後すぐ解散したんだ。」とのこと・・・。

「え?そうなの!?
 じゃあ私、結局お友達との楽しい時間邪魔しちゃったんだね?」

「そうじゃないって!俺も爽子と同じで
 爽子が居ないとどうして良いか分かんないんだよ。
 ジョーたちも俺がそうだって分かってて
 居ない間の寂しさ紛らすのに付き合ってくれてただけ。
 昔っから俺の爽子バカは有名だからね。」

でも・・・そんなことに友達が付き合ってくれるのは
やっぱり翔太くんの人柄あってのことだって思うけど・・・


家について鍵を開けて中に入れば
楽しそうなお花見の名残が広がってて。

「ごめん!片付ける暇なくて!!
 後で俺が片付けるから!!」

「いいよー。楽しそうでよかったね。
 私たちも続けてお花見しよ。うちの桜で。
 なんだかね、今日行ったところの桜は
 凄くたくさんあって見事で綺麗だったんだけどね・・・
 私はこの桜が見たいなって思ったんだよ・・・。」

「そっか・・・」

「おかしいよね、毎日見てるのにね。」

「おかしくなんかないよ。
 だってうちの桜は最高だもん。」

「・・・うん、今年も綺麗に咲いたね。」と私が言えば

「ああ、初めてここを見に来た時もすっごく咲いてたっけ。」
と、翔太くんが応えてくれる。

「大きくて綺麗で沢山ある桜は見事だけど
 小さくても私もこの桜が大好きだよ。
 だってひとりじめできちゃうんだもん贅沢だよね。」

「あ、ダメダメひとりじめは!
 あの桜は俺と爽子の桜なんだから・・・」

「ふたりじめだね・・・」


二人の声が重なった。
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