このまま言葉を重ねても、全部夢にされそうだ。
それは・・・困るんだけど、そんな黒沼が可愛いくて抱きしめたくなった。
手をとって引き寄せれば華奢な黒沼は俺の腕の中にすっぽり収まった。
信じられないくらい近くにいる黒沼に言った。
「俺が黒沼を好きなこと、黒沼も望んでくれてるって思っていいんだよね?」
黒沼は俺のベストをギュッと掴んでコクコクと小さく何度も頷いた。
「よかったー・・・キスはノーカウントで、
告白は夢にされちゃったらどうしようかと思ったー。」
告白は夢にされちゃったらどうしようかと思ったー。」
嬉しくてぎゅっと抱きしめた時、チャイムが鳴り響いた。
はたと我に返って黒沼の身体を自分から引き離す。
「うわっ・・・ご、ごめん!!ここ、学校!今、昼休み・・・だった!!」
一気に顔が熱くなる。
黒沼の顔もやっぱり真っ赤で。
「予鈴が・・・予鈴で・・・予鈴なので・・・きょ、教室に、も、戻ります!!」
と、またもや黒沼は走り去ってしまった。
「・・・あー、もー、また、別れ際に謝るようなことしちゃったよ、俺・・・・。」
俺も教室に向かうけど、もう黒沼は見当たらない。
気持ちはなんとか伝わったと思うけど、もう一つ肝心なことを言えてない。
好きだってことは分かってくれたと思うけど、
どれだけ好きかはきっと全然伝わってない。
どれだけ俺にとって黒沼は特別か、どれだけ可愛いと思ってるか、
多分全然分かってない。
5限が始まる直前、教室に入ると矢野と目があった。
なんていうか、面白がってるって感じの視線。
黒沼は相変わらず目を合わせてくれないけど、
午前中とは全然雰囲気が違うように思う。
うん、一応気持ちは伝わってる感じだ。
5限が始まって暫くして、
黒沼が自分の頬にそっと右手を持ってきて、
不意にきゅっとつねった。
小さく「痛た・・・」と言った黒沼の右頬が
途端にほのかに赤くなった。
思わず『わっ!』って声出しそうになった。
あーもー・・・まだ夢かもって思ってんの?
まだまだ伝え足りないみたいだ。
やっぱり今日のうちに大事なこと伝えないと。
付き合って欲しいって、
彼女になって欲しいってちゃんと言わないと。
先延ばしにしたら、きっと黒沼は
俺が好きだと思ってるってことだけで
満足して終わっちゃいそうだもんな。
俺的にはその段階はもうとっくに過ぎちゃってる。
黒沼に好意を持ってる人間の一人じゃ困る。
もっと黒沼にとって特別な存在になりたい。
今のままじゃたぶん、吉田や矢野と同列だよな。
「恋愛感情で大好き」と「諦めきれない友情の大好き」って
黒沼の中でどっちがより大好きなのか・・・。
こんなこと考えてるなんて情けないけど。
まだ黒沼は彼氏彼女として付き合うって、
自分とは縁のない遠い世界のことと思ってんのかなあ。
でも俺はもう『まあ・・・・いっか』で済ませられない。
キスして抱きしめてしまったらもう後には戻れない。
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