長らくお付き合いありがとうございました。
T.N.G、「＃１７　君がいればずっと今が最高」で
完結ということにさせていただきます。

最後なので、タイトルについて言っとこうかと思います。
T.N.Gはですね、「強くてニューゲーム」の略ってことで。
RPGとかで二巡目以降のレベルとかを引き継いで
最初から始めるってやつね。
まあそんな感じかなーと。

まだまだ途中のお話があるのでこれからもどぞヨロシク。

それでは、よろしかったらおひとつ～。

[5回]

　　　

１７　君がいればずっと今が最高

目覚まし時計のアラーム音が聞こえる。
これは札幌の俺の部屋で使ってた目覚ましの音だ。
目を開けて周りを見回すとそこは札幌の俺が一人暮らししてた部屋で
意識不明で入院とかいう事態にはなってないっぽい。
ゆっくりと目覚ましのボタンを押してアラームを止めた。

そうだ・・・今日は一体何日なんだろう。
枕元のスマホを開いて日付を確認する。

４月１２日・・・
ん？これってプロポーズした翌々日・・・だよな。
つまり一晩しか経ってない？

スマホを持って首をひねってたら
スマホが着信を知らせて鳴り響いた。
爽子専用の着メロに表情筋が緩むのが自分でも分かる。
ちょうど７時、いつものモーニングコールだ。

「おはよう、黒沼！」と電話にでる。

「おはよう翔太くん。
　今日は随分寝起きがいいね。
　それに懐かしい呼び方・・・。」

「あ、つい・・・。」

「・・・でも、もうすぐ私、黒沼じゃなくなるんだね・・・。」

「え・・・風早になるの・・・いや？」

「そ、そんなことないよ！ただ、その、『風早爽子』って
　あまりにも爽やかな名前でこんな私がゴメンナサイっていうか・・・。」
　
「あはは、何言ってるんだよ。『風早爽子』が一番似合うのは
　俺の奥さんになる爽子に決まってるでしょ！」
　
「わ、わ、朝からなんかありがとうございます。」

「ーあ、あのさ、爽子！今日、会えるかな？」

「え？一昨日会ったばかりなのに？
　私の方はいいけど、翔太くんはお仕事大丈夫？」

「どうしても今日、会いたいんだ。
　仕事は頑張って終わらせる！！」

「私はいつだって会いたいから・・・嬉しいよ。」

「俺だって毎日だって会いたいけど・・・
　今日は特別絶対どーしても会いたい！！」
　
「うん・・・。」

「じゃあ、いつものところでね。」

「うん。じゃあ、今日もお仕事頑張ってね。」

今晩逢う約束をして電話を切った。
話をしてたらどうしようもなく
今の、２５歳の爽子に会いたくなってしまった。
高校生の黒沼もそりゃあ可愛かったけど
やっぱり長年一緒に歩いてきた
俺の爽子が一番かわいい！
って、まあ、どっちも爽子なんだけど。

しかしやっぱり俺が二ヶ月間高校生やってた間に
こっちでは一晩しか経ってないようだ。

つまりあの二ヶ月は俺の一晩の夢だったってことなのか？
どんだけ濃い内容の夢を一夜にして見てるんだ、俺・・・。

あの二度寝のあとの遅刻なんて
いらない心配だったってことか・・・。

う～ん、でもあれがただの夢だったなんて
やっぱり思えないよなあ・・・。

でもまあ、あっちのことはあっちの俺が
それなりに上手くやるだろう。
夢だろうとパラレルワールドだろうとなんだろうと。
何しろ学校祭一緒に回る約束までは取り付けたんだから。
上手くやろうがすれ違おうがそれはそれだ。
もともと俺が口出すことじゃない。
なんにしたって俺と爽子である以上別れるとかはありえないし。
ってか、俺が手放せるわけがない。

結局のところ今の俺が最高に幸せだと思う。
たぶんずっと最高な今を更新し続けていくんだろう。

爽子と一緒に居られればきっと間違いない。

END