ここのところ「月刊少女野崎くん」とのコラボっていうのが
いまいち活かしきれてないような。
というわけで今回、千代ちゃん成分多めでお送りしております。
わりと風早くんと千代ちゃん喋らすの楽しいです。
その分、爽子ちゃんがあまり出てきません。すいません。
それでもまあいいよという方はよろしくどーぞー。

[8回]

　　　

１８　もうしばらくこのままで　


黒沼を好きになるやつなんてすぐ出てくるとは思ってたけど
まさか先を越されて告白されてしまうとは・・・。

変に我慢なんかしてないでさっさとぶっちゃけるべきだったのか？

夏休みにずいぶん近づけた気がして、二学期始まってからも
学校でも必ず少しでも会話してもっと距離を縮めて
黒沼に好きだと思ってもらえてるって実感を感じたくて。
黒沼も付き合ったりってこと考えられる感じになったらとか
俺としてはそりゃもういろいろ考えてたっていうのに。

三浦はほんとに何も考えてなくて。
お気軽に「好き」だとか言って。
黒沼に「考えてよ」とか言って。
なんだよあいつの告白は！？
挨拶かなんかなのか！？
黒沼が言われて困ってもお構いなしだし・・・。

明らかに黒沼困ってたよな？
いきなりクラスのみんなの前であんなこと言われて。

そんで、焦って俺、思わず黒沼んとこ行って声かけて・・・
何言う気だったんだ？
三浦に触発されて「俺も好きだ。」とか言う気だったのか？
三浦なんかをきっかけに大事に想ってきた黒沼への気持ちを
あんなとこで乗せられたみたいに言ってたらきっと後悔してたと思う。
あそこで言わなかった事自体は良かったって思うけど、
黒沼は三浦のことどうするつもりだろう？
まさか付き合ったりしないよな？
だって黒沼は付き合ったりとかはまだ考えられないって・・・。
でも、そう言ってたのって一年の体育祭のときだし・・・。

野崎と佐倉のこと近くでずっと見てて、
「恋しよっ♡」を毎月読んで、
月刊ロマンスの他の恋愛漫画とかも読んでて、
彼氏彼女もいいなーとか思うようになってたりするかも？

意外とあの軽い告白がタイミング良かったりしたら？
どう見ても黒沼、三浦のこと嫌ってはいない感じだし・・・。
もしかして付き合いだしちゃったりしたら・・・！？

もし黒沼がそうするのならそういうことなんだろう。
三浦を好きだから付き合うんだろう。
黒沼はいい加減な気持ちでそういうことはしないと思う。


昼休みに吉田と矢野と三浦と、それから黒沼の４人で
連れ立って教室から出ていった。

黒沼大好きな吉田と矢野のおせっかいなのか
黒沼の頼みで立ち会うのかわかんないけど
三浦を連れて行ったんだから朝の告白の件なんだろう。

ジョー達は「サッカーするぞー！」ってグラウンドに行って、
「俺は今日はちょっと・・・」とめずらしく一人教室に残った。

「風早くん！」と、また佐倉がやってきた。
「今日も野崎くんのとこ、来てね！
　あっ！それと、朝の三浦くんのアレ、気になってるよね！？
　大丈夫だよ！みんなで三浦くん連れてお断りしてくるって言ってたから。」

「えっ！？断るの？」

「『えっ！？』って、そりゃ断るよ。当たり前でしょ？」

「当たり前って・・・黒沼、三浦のこと好きなのかと思ってたんだけど。」

「やだなー、爽子ちゃんは三浦くんになついてたけど、
　好きとか付き合うとかじゃないから。」

「そ、そうなんだ・・・。
　って、そんなこと俺が聞いちゃっていいの！？」

「いんじゃないの？風早くんなら。」

「俺ならいいって・・・なんで？」

「う～んと・・・鈍感だからじゃない？」

なんだろう最近よく言われる気がするな。
俺ってそんなに鈍感なのかな？

「風早くんは言わないの？爽子ちゃんに！」

ああ、そういえば野崎が
俺が黒沼を好きだってみんな知ってるとか言ってたっけ。

「三浦が言ったから俺も焦って？
　そんなことされたら黒沼が困るんじゃない？
　だから俺はもう少し黒沼のこと見守りたい。」

「ふーん、そうなんだ。」

「佐倉の方こそもう一度ちゃんと野崎に伝えたほうがいいんじゃないの？」

「えっっ！？」

「ホントにビックリするくらい全くなんにも伝わってないよ、野崎に。
　鈍感だって言うなら絶対野崎のほうが上だから。
　きっちり言葉にしないと全然伝わんないから！」

「ん～・・・実は今のままでいいかなって思ったりしてるんだ。
　野崎くん漫画の事で頭が一杯で彼女作ったりとかしそうにないし。
　仕事の上でかなり必要とされてるし、それでいいかなって。
　意識してもらえたら嬉しいといえば嬉しいけど
　野崎くんがいちばん大事な漫画に少しでも影響とかあったらイヤだし。」

「・・・じゃあ、お互いもうしばらく・・・このままで。」