『こんなのがお礼になるのかな?』
そう思いながら、心の中で1・2・3・4・5・・・と数える。
『もういいかな?
早くなかったかな?
もう目を開けていいかな?
ほんとにお礼になったかな?』
と思ってたら、ふっと顔の前に仄かな熱を感じて
唇にもっと熱くて柔らかなものを感じた。
『えっ?』と、思わず目を開けると
目の前に目を閉じた人の顔・・・風早くん・・・?
驚いて顔を引いた。
「か、風早くん・・・」と、つぶやくと
目の前の顔の閉じられた目がゆっくりと開く。
そ、そうよね、今、私と風早くんしか居なかったんだもの。
さっき唇に感じたのは、風早くん・・・の・・・
「あ、あ、あ、あ、あ・・・・・」と、声が漏れて、
体中の血が顔面に駆け上ってくるような感じがする。
目の前の風早くんは、暫くぼうっとしていたけれど、
目が合うとたぶん私と同じくらい顔を赤くした。
口元を右手の甲で隠すようにして叫ぶように言った。
「ご、ご、ご、ご、ごめん!!くっ、黒沼!!」
「えええ・・・えっと、あの、も、も、も、もしかしたら、その・・・」
「は、初めてだったよね、きっと!
あ、それは、俺もだけど・・・。
いや、あの・・・こ、こんなつもりじゃなかったんだ!!」
さっき駆け上がった血液が、
ざああっと音を立てて全身を駆け下りた気がした。
そうだよね。
風早くんがこんな事、するつもりでするわけ無いんだ、私に。
私のお礼、失敗しちゃったんだ・・・。
「謝って済むことじゃないと思うけど・・・
黒沼が、あ、あんまり・・・」
「ご、ごめんなさい!!」
一言謝るので精一杯で、私は夢中で走って家に帰り着いた。
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