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ササ夏のターン！
[3回]
１５ 佐々原視点
「夏目さんさ、不用意にああいうこと言うのはどうかと思うよ。」
黒沼さんは夏目さんのこと非難したりしないだろうから
黒沼さんが席を外してるのを見計らって
夏目さんに一言言っとこうと思った。
きっと俺が言わないと誰も言わないと思ったから。
パソコンの画面からゆっくりと嫌そうな顔をこっちにむけて、
「なんですか？ササヤンくん、なんか文句でもあるんですか？
もしかして風早君に言ったことに対して言ってるんですか？
結果的に良かったんじゃないですか？
風早君って、なんか一歩踏み出すのが苦手そうっていうか
そんな感じするんですもん！
人気者はこう、自分から行かなくたって
だいたい向こうから来てくれちゃいますから
きっと今まで踏み出す必要が無かったんじゃないですか？
だから今までクッキーに対しても積極的に
行けてなかったんじゃないかと思うんですよ！
きっかけになってよかったんじゃないかって
私は思ってますよ！！」って、立て板に水って感じで。
ちょっと面食らって黙ってたら
「返事はどうした？」とばかりに睨まれてて・・・
「んー、まあ一理あるけど、あの二人はさあ・・・
吉田と水谷さんと違って・・・なんていうか・・・
ナイーブなんだからさ・・・
今回はたまたまいい感じに後押しした感じだけど、
今後はあんまりガッと行かないほうが
いいじゃないかなって思うんだよね。
友達無くしかねないよ！」
「なんですか、なんですか！
人気者視点からの助言ですか？
人と付き合うにはこうすれば上手くいく的なことですか？！」
「なんだってそう夏目さんはカチンと来る言い方するかなあ！」
「ササヤンくんだってなんで私に
そんな厳しいことばっかり言ってくるんですか！？」
「夏目さんが辛い目にあって泣く位なら
俺の助言で泣かずに済むなら
そうしてあげたいって思うんだよ！」
「私のためだっていうんですか？」
「俺の周りの友人関係が円滑に行ってほしいからだけど、
夏目さんが一番友達思いだと思ってるから
夏目さんの事を一番考えて
夏目さんに一番いいと思うことを言ってるよ、俺は。」
「私の事を一番考えてって・・・
な、なんなんですか、私を好きみたいに言わないで下さい！」
「好きだよ。
『好きにならないでくださいね』なんて言われてたから
すきじゃないことにしてたけど
好きになっちゃったんだからしょうがないじゃん。」
真っ青・・・いや、真っ赤？
よくわからない顔色になって
口をアワアワさせて夏目さんが言い放った。
「い、居るんですよね！！
友達面からの不意打ちかましてくる男ーー！！！」
「はいはい、夏目さんの嫌がるタイプの男ね！
言うつもりなかったけど言っちゃったからさ、
開き直るよ、俺は。
俺のやったことはそれだけどさ、
一年の時からずっと友達で、
好きになることなんて無いと俺も思ってたけど、
ずっとそばで見てたらなんかさ、
好きになっちゃってたんだから仕方ないでしょ。
でも、話したこともないのに
顔が可愛いから好きだっていうやつと
一緒にされるのは我慢ならない。
俺は夏目さんは顔より内面のほうが可愛いと思ってるし。
夏目さんも早く俺のこと好きになって欲しいって思う！」
散々好きとか可愛いとか言ったあとで、
ここが教室だと気がついた。
ちょっと焦って、周りを見渡して、ホッとした。
俺と夏目さんが言い合ってるのなんて日常茶飯事だし、
夏目さんは俺のこと人気者とか言ってるけど、
単に友だちが多いってだけで、
風早みたいに注目を浴びるタイプじゃないのが幸いした。
教室の中で焦って赤くなったり青くなったりしてんのは
俺と夏目さんだけだった。
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