2 座敷童子の黒沼の極上の笑顔に魅了されてしまう俺って変?
着いた先は2階建ての10ほどドアが並ぶアパート然とした建物だった。
ドアに『1』のプレートが付いた部屋を尋ねると、
「おう、待ってたぜ。」と、軽く見上げるくらい大柄な人が出て来た。
「あ、どうも、荒井さん。
風早さん、こちら家主の荒井さんです。
荒井さん、こちらが部屋を見たいとおっしゃる風早さんです。」
と、担当の人が家主さんに俺を紹介してくれた。
「よろしくお願いします。風早です」
「話は聞いてきたんだろうな?あの部屋には座敷童子が憑いてるんだが・・・」
「はい・・・。あのー・・・荒井さんはその座敷童子に会ったことあるんですか?」
「おう、あいつはちょっと見た目が暗いけどな、いいやつだぞ。
あいつのお陰でここに住んでる奴らは結構羽振りがいいんだ。
座敷童子ってのは、なんか憑いてる家を栄えさせるとか言うしな。
ただ、どうしても5号室に居たいらしいし、寂しがり屋なんだよな。
だから部屋代を安くして、入居者を募集してるんだ。
なかなか怖がって長続きする奴が居なくてなあ・・・
できたら仲良くしてやってくれよ。
なんなら早速会っていくか?」
俺はちょっとドキドキしながらも彼女に会ってみることにした。
やけに怖い怖いと聞いてるのに、不思議と怖いとは思わなかった。
5号室のドアを開けて荒井さんは、
「おう、黒沼、居るか―?」と言った。
高くて細い声で「は――いぃ。」と返事が有って、
誰も居ないと思えた部屋の真ん中に
すうっと着物姿の髪の長い女の子が現れた。
「おー、黒沼。新しい入居希望者だ。風早っていうんだ。」
と、すごく簡潔に紹介された。
「初めまして、風早です。君のおかげで安く部屋が借りれるよ!ありがとう!」
そう言えば彼女はすごく驚いた顔をして、俺の顔をしばらくじっと見たあと、
少し涙を滲ませながら、それでもにっこり笑って、綺麗に笑って、
「そんなこと言ってもらったの初めて・・・こちらこそありがとう。」と言った。
その笑顔は柔らかく綺麗で可愛く幸せそうな、
見ている俺まで幸せになるような極上の笑顔で・・・
見た目が暗くて存在が怖い女の子というのは一体誰のことなんだ?
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