ちょっとTwitterで言ってた【交際０日結婚】。
「T.N.G」の逆っぽい話。だからタイトル「G.N.T」です。
交際０日結婚なのは爽子ちゃん側だけなんですけどね。

続き書くかどうか分かんないんですけど
とりあえず終わってないんでナンバリングしときます。
「なんじゃそりゃ～」と思ってもらったらシメたもんです。

[13回]

　　　

1　花嫁の朝


今日は、肝試しでした。

吉田さんと矢野さんのおかげでお化け役が出来て
みんなも楽しんでくれて喜びとやりがいに満ちた充実した時間でした。

風早くんともお話出来て嬉しかったな・・・

でも、風早くんの肝試しはあれでよかったのかな？
大丈夫なのかな？


そんな日記を書き終えてお布団に入る。
明日は一学期の終業式。
なんだかいつになく学校に行くのが楽しみで
ワクワクした気分で眠りについた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

目覚ましがなる２分前、すっと目が醒めて
「ん――・・・」と伸びをして深呼吸する。
朝の澄んだ空気で身体がシャキってする。
なりだした目覚ましをトンと止める。

今日は終業式だから私のお弁当はいらないけど
お父さんはお弁当要る日だったよね、とか考えながら
お布団から出ようとしたら、ドアがノックされた。

「爽子―。起きてるー？」とお母さんの声。
「はーい。」と返事すれば、お母さんがニコニコしながら入ってきた。
「いよいよ今日ね！」と嬉しそう。
だけど、何がいよいよ今日なんだろう？
「爽子、緊張してる？」
「・・・えっと・・・何がかな？」
「ふふふ・・・お父さんたらねえ、もう泣いちゃってるのよー。」
「え？どうしてお父さん泣いてるの！？」
「昨日の夜、爽子が挨拶してくれたでしょ。
　もうあれからずーっと、泣きっぱなしなの。」
「・・・あの、お母さん・・・今日何かあるの？」
「え？やだ、何言ってるの、爽子～。
　緊張のあまりボケちゃったの～？
　今日は爽子の結婚式じゃないの～。」
「けっ・・・えっ・・・？！
　お母さんこそ何言ってるの？
　今日は一学期の終業式・・・だよね？」
「・・・もう、何の冗談・・・・・・・・・・・・・じゃないのね？
　爽子はそんなわけのわからない冗談言わないものね・・・」
「お母さんも冗談じゃない・・・・・・・・・・・んだよね・・・」
「・・・爽子は今・・・何歳？」
「・・・え？・・・１５歳だけど・・・」
「お母さんが起こしに来た爽子はね、２４歳でね、
　大好きな彼と８年の長い交際を経て
　今日とうとう結婚することになっているんだけど。」
「う～ん・・・つまり・・・来年、お付き合いを始めた人と
　今日、私、結婚式をすることになってるの？」
「そうなの、今日は結婚式なのよ！
　ゆっくり話してる時間なんてないの！
　大丈夫！見た目はちゃんと２４歳だし、
　お母さんがついてるから！
　とりあえず会場に行かないとね！」
「ええ！？このまま私誰だか知らない人と結婚式するの！？」
「あら、爽子、一年の時も同じクラスだったって言ってたから
　知らなくはないはずだけど・・・」
「ク、クラスメイト・・・・なの！？」

そう言われてポンって頭に浮かんだ人は
昨日少しお話出来た風早くんだった。
いや、いや、いや、いや、そんなわけないよ！
風早くんといえばクラス一、いやもしかしたら学年一、
ひょっとしたら学校一の人気者で・・・
なのに私なんかにもみんなと平等に話しかけてくれる
神様みたいな人なのに・・・
そんな人が私と結婚してくれるとか、あ、ありえない！！

「あら、思い当たる人は居たのかしら？」って、
お母さん、もしかして、すでにこの状況を楽しみだしてる？

とりあえず時間がないからと急かされて
前もって私が用意していたらしい服を着て
大きな荷物をお父さんの車に詰め込み会場に向かった。

「あの・・・相手の人は誰なのかな？」とお母さんに聞いてみたのだけれど
「ふふふ・・・会場に行けば分かるから♡」と教えてくれない。
お母さんはやっぱり楽しんでるんじゃないかな・・・