合格証明書が届いて、私は人間になれたんだなあ・・・
って思ってはみても、実感はなくて・・・
そもそも、魔力があるかないか以外に違いはなさそうで。
合格証明書が届いた後に魔法を使ってみたら使えたから
魔力が残ってたら、私はまだ悪魔でもあるんじゃないかなって
最近思っているのは翔太くんには内緒です。
後どのくらい魔力が残ってるのかゲームみたいに
MPとかデジタル表示してくれたらわかりやすいけど
そういうのはないので、
なにか最後に結構魔力使いそうな魔法をひとつ
使ってみようかなって考えてて。
それで魔力がゼロになったら晴れて人間なんじゃないかなって。
最後だからどーんって凄いなんか素敵な叶えたいことないかなって・・・
「爽子、またなんか考えてるでしょ?」
「え?ううん。別に何も・・・」
「爽子は嘘つくの嫌いだよね?」
「ええっ!?うん、そうだよ・・・・
う~ん、あのね・・・
翔太くんの幸せって何かな―って・・・」
「俺の幸せ?今幸せだけど?」
「何か、こう、こうだと幸せみたいな、何かないかな?」
「俺、爽子がそばに居てくれたら幸せだよ。
だから、俺今、十分に幸せだけど?」
「もっと、こうだと更に幸せ!!とかは?」
「う~ん、俺の側で爽子も幸せならそれ以上の幸せな事ないよ。」
「え?私?!わ、私も今、びっくりするくらい幸せだよ!!」
「あはは・・・びっくりってなんだよ。
でも、良かった。
じゃあ、俺も今、びっくりするくらい幸せ!!」
なんか幸せ合戦をしてしまった。
お恥ずかしい・・・
今幸せなのは十分すぎるくらい確認してしまったので、
そーだなー・・・
『翔太くんが、ずっと一生幸せで居られますように。』
うん!これは素敵な願いだよね!!
一生だもの、魔力もそうとう消費するよね、きっと!!
それに何より、翔太くんのための魔法だしね!!
その夜、ちょうど野球の生中継があって、
翔太くんはこれには結構のめり込んで観ているって知ってるから、
この時とばかりに翔太くんの背後でちょっと距離をとって
小声で呪文を唱えて、人差し指をくるっと回した。
何か分からないけど、思った以上の喪失感を味わって、
少しめまいがして足元がふらついて・・・
『あ、倒れちゃうかも・・・』って思うのに足に力が入らなくて・・・
床は冷たくて痛いかも・・・って覚悟したけど
倒れこんだ先は温かい胸の中で・・・
「あ、あれ?」って、見上げれば青い顔した翔太くんと目が合った。
「わ!翔太くん、大丈夫!?」って言ったら、
「こっちのセリフだよ!
爽子、どうしたの?倒れるなんて。」って言われた。
「も、もう大丈夫!!ちょっとふらついちゃって・・・運動不足かも・・・
あ、ごめんね!野球観戦の邪魔をしてしまって・・・」
「野球なんてどーでもいーよ!!
さっき、爽子、小声でなんか言ってなかった?
気になって振り返ったら倒れそうになっててびっくりしたよ!
ホントに大丈夫?苦しいとか痛いとか無い?
もしかしたら、なんか病気とか?!
そうだ、明日病院行って調べてもらおう!!」
「ち、ち、ち、違うよ!!病気とかじゃないよ!!」
「なんでそう言い切れるの?なんか心当たりあるの?」
「え?な、無いけど、大丈夫!今はもうスッキリ!!」
「爽子は嘘つくの嫌いだよね?」
「ええっ!?うん、そうだよ・・・・
う~ん、あのね・・・ちょっとね・・・
まだ魔力があるみたいだったから
使い切っちゃおうと思って・・・」
「じゃあ、魔法使ってたんだ・・・ああ、あれ、呪文?」
「う、うん!そーそー!」
「でも、ベッドの時はあんなことにならなかったよね?
何、なんかものすごい魔法だったの?倒れちゃうほどの?」
「うん、なんかね、無くなったなって感じがしてね。
多分使い切れたと思うよ。」
「なんで使い切ろうって思ったの?」
「えっと・・・だって・・・魔力があったら人間じゃないでしょう?」
「別に良かったんじゃない?
そんな思いするくらいなら魔力があったって・・・
爽子は爽子でしょ?」
「でも、私はちゃんと、翔太くんと同じ人間になりたくて!!」
「え!・・・もう・・・俺、悪魔だって何だって
爽子が好きなんだって言ったでしょ!
うん・・・でも・・・すっげー嬉しい言葉もらったって思うよ。
・・・で、それで・・・?」
「え?」
「そのすごい魔法って何?」
「う、う~・・・」
「さ・わ・こ・・・」
そう言って翔太くんが正面から至近距離で私の瞳を覗きこむ。
ひょ~、こんなの、どうしよう、心臓破裂する・・・
「呪文はな~に?」
「・・・翔太くんが、ずっと一生幸せで居られますように~・・・」
「え!?/////」
慌てて自分の口を押さえたけど、出てしまった言葉は戻らない。
「・・・そりゃあ、ぶっ倒れるくらい魔力使っちゃうよ・・・
俺、俺の側で爽子も幸せなら幸せなんだから、
要するに、俺と爽子、二人分の一生の幸せを願っちゃったんだよね?」
「え?!私も!?
ああああ・・・今度こそ翔太くんのための魔法だと思ったのに
また私、自分のために・・・最後だったのに~・・・」
嘆く私に、翔太くんは大好きな笑顔で・・・
「もう魔法かけちゃったんなら、爽子もう俺の側から離れられないね!
そーれーかーらー・・・自分のためじゃなくって・・・」
「ふたりのためでしょ?」
翔太くんは本当に普通の人間なのかな?
翔太くんの言葉は破壊力凄いよ!!主に私の心臓の!!!
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