学校についてコッソリ昇降口に向かいそそくさと靴を履き替える。
「おはよう、爽子。」
思わずビクッと肩が上がる。
「あ、あ、あ、あ、あやねちゃん!!・・・お、おはよう・・・」
「?・・・何ビクついてんの?」
「な、な、なんでもないよ!」
と言いつつ周りにキョトキョトと目線を泳がせる。
「ちょ、ちょっと用事があるので、先に教室行っててね!」
と、駆け出そうとしたら・・・
「爽子!!又なんか変なコト考えてるんじゃない?」
なんか鋭いあやねちゃんの言葉が降ってきた。
「爽子が、『ちょっと用事』なんていう時は、なんかある!!」
「ええ~~~!?」
「昨日、あたし達と別れる前は普通だったよね。
まさかあの後、あのジェントルメンとなんかあった?!」
あやねちゃん鋭すぎる!
今、きっと私の顔には『図星!』って書いてあるんじゃないかな?
「よし!ここでは何だから、こっち来な、爽子!」
と、私の手を引いてあやねちゃんはずんずん歩く。
そして連れて来られたのは屋上へ続く階段の踊り場。
「で・・・何があったのか、包み隠さず白状しな!」
「あ、あ、あ、・・・あの、私、どうしよう・・・
キ、キス・・・しちゃったみたい・・・なの!」
「・・・え?・・・ええっ?!・・・あんたたちが?
・・・で、なにその『みたい』ってのは!」
「え・・・とね、私、目を閉じてたからよくわからないけど、
唇に熱くて柔らかい物が触れて、
驚いて目を開けたら目の前に風早くんの顔があって・・・」
「は?なにそれ・・・早業?一瞬目を閉じた隙にキスされたの?」
「一瞬、て言うか・・・5秒なんだけど・・・」
「風早に『5秒目を閉じて』とか、言われたの!?」
「ち、違うよ!風早くんはそんなこと言ってない!!」
「じゃあ、なんで5秒も目を閉じてたのよ?」
「あ、荒井先生が・・・」
「ピンが・・・?!」
「『風早くんにお礼したい時は、掴んで5秒目をつぶれ』って、
教えてくださったので・・・」
「ーーー敬語使ってる場合かーーー!!」
「え?だけど、先生のことは尊敬していて・・・」
「そんなことはこの際、どーでもいーのよ!!
で、その後どうしたの?」
「『ごめんなさい。』って言って、1人で逃げ帰ってしまいました。」
「なんで爽子が謝んのよ。
目を閉じたのは爽子でも、キスしてきたのは風早でしょ?」
「だけど、風早くんは『こんなつもりじゃなかったんだ。』って言ってたし。
するつもりじゃないことを、私がさせてしまったみたいで、
それに、その、風早くんもファーストキスだったみたいで、
その相手が私だなんて申し訳なくって・・・・」
「はあ~、もう・・・。それは爽子、あんたの考えすぎ!
ホント、悪い癖だよ、それ!
いくら目を閉じてキスして欲しそうに前に立たれたって、
したくなけりゃしないっての!!」
「ええ~~!?」
「って、当たり前でしょ!!操る力が有るとかいうんじゃないなら。」
「な、な、無いよ!私にそんな力!」
「んー、だからさ、思わずってのはあったとしてもってこと。」
と、その時、予鈴がなった。
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